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新しいピアノには「リリース直後のバグ」がつきもの

「デバッグ」と言う作業、ご存知ですか?

デバッグとは、ソフトウェアのソースコードのエラーやバグを見つけて修正するプロセスです。 ソフトウェアが期待どおりに動作しない場合、コンピュータプログラマーはコードを調べて、エラーが発生した原因を特定します。

Amazon web serviceより

※ちょうどこの投稿の数日後に詳しい動画が出ていました。わかりやすい!

これ、新品のピアノの育て方に似てるなと思いました。

身近な「デバッグ」と言うと…

やはりゲーム関連でしょうか。ほぼ完成したゲームを発売前に「デバッガー」と呼ばれる人たちがプレイしてみて、ゲームが正常に動くか、バグがないかを確かめます。

レースゲームで壁にぶつかった時すり抜けたりしないか。

格闘ゲームで特定の技を同時に出すとフリーズしないか。

RPGでアイテムの順番を変えたときに消えたりしないか。

考えられる操作から、ふつうはやらないようなあらゆる操作まで試して、プログラムが予期せぬ挙動をしてしまわないかを洗い出していきます。複雑なプログラムには必ずバグがあるので、見つけたバグは修正し、またデバッグ、の繰り返しで完成に近づいていきます。

それでも100%の状態で発売されることはありません。最近のゲームは発売後もネット経由でバグを修正するアップデートが頻繁にされるので、バグが多いゲームだと「発売直後に買った人はお金を出してデバッグをさせられてる」なんて揶揄されたりもしますね…

ピアノもそんな感じです

ピアノにもこういった予期せぬ挙動がつきものです。出荷される時はとりあえず問題がなくても、納品されて新しい環境で弾いていくと必ず不具合が出てきます。

新品で購入されたピアノはいろんな条件や弾き方でつかってもらって、バグにあたる不具合を出してもらう。調律師が修正をしてアップデートする。また弾いてもらう。不具合。アップデート。の繰り返しです。

例えば最近月1で調律している新品のグランドピアノでは…

部品のずれで音が止まらない
油切れで音が止まらない
鍵盤が外装部品に引っかかって戻らない
ペダルを踏んだ時に内部の金属がこすれてガリガリ鳴る
黒鍵が剥がれる
脚の装飾に特定の音が共鳴して異音がする

…などなど。

毎月ごとにいろいろな不具合が出て、その都度アップデートしていっています。

同じ環境に置かれている同じ機種のピアノでも、最初は似たような不具合が出るのですが...時間が経つにつれて出てくる不具合がそれぞれ違ってきて個々のクセみたいなものが現れてくるのも面白いです。

これらの不具合は「故障」ではあるのですがちょっとニュアンスが違って、やっぱり「バグ」が近い表現だと思います。

大量の部品が複雑に絡み合っているうえに、置き場所の環境変化が掛け合わさるので、どんなタイミングで何が起こるか、それとも何も起こらないのか、総当たりであぶり出していくまさにデバッグ作業。

ピアノのデバッグは1年くらいかかります

ここは商業用(スタジオやイベント、ピアノ教室など)に使うピアノを用意するときは注意点で、それぐらい新品のピアノは未完成な状態で出荷されます。

最初は持ち主も調律師もなかなか大変ですが、ゲームの発売直後のバグがなんか憎めないように、新品ピアノならではの未完成さも結構面白いものだと個人的には思っています。


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