ピアノ調律師をやっていて地味につらいこと
職業ごとに「大変なこと」はそれぞれ。
内容自体が大変だったり、責任が大きかったり、長時間労働、金銭面とか人間関係とか。
小学校の先生をやっている友人が「駅のホームで椅子に立ち上がっている小学生集団を見かけたりすると、疲れてても関係なくても一応注意しないといけないのが地味につらい。スルーしても良いんだけど立場上ね…」と言っていました。
職業紹介のページには載っていないような、なってみて初めて感じる些細なこと。ピアノ調律師にもそんな「地味につらいこと」があります。
スーパーの袋が開けられなくなる
これ、僕だけかもしれませんがゴミ袋とかも指が滑って全然開かないです。わりと若いときからで、友人から職業病じゃない?と言われてから疑ってます。
確かに木を触ったり薬品を使ったり、細かい部品の調整など指先をすごく使う仕事ではあります。手の油分が持っていかれているのか指紋が減っているのか。どちらにしても手荒れや傷は絶えないですね。ハンドクリームを塗りたくってます。
ラーメンにニンニクを入れられない
外回りの調律師はお客さまと直にコミニュケーションをとる場面も多いです。個室や防音室などの密閉された空間にこもって作業することもあります。
基本的に日々の食事もニンニクが使われているものは避けるようにしています。仕事中の昼食もニオイが残らないものや、体にニオイがつかない店を選ぶのはなかなか苦労します。結局カフェかコンビニが安定です。
グルメな同業者の方はもしかすると、この点意外と深刻なのでは?と思っています。
体がバキバキになる
調律は肉体労働です。悪い意味での。
今日も一日体を動かしたー!と言うような健康的な肉体労働ではなくて、身体に負担をかけるような無理のある作業であることは間違い無いです。
やはり医学的にも、長時間同じ体勢や、体の左右ばらばらに力がかかるような動きは良くないと言われます。調律の作業はそんなことを2〜3時間やるわけです。
「調律師は身体が資本」
この仕事につく前から聞いていはいましたが「健康に気をつけていればOK」というわけでもなくて、積極的に身体のメンテをしていかないといけないことは、仕事を続けてきて気が付きました。
保守管理という仕事
意外とあまりイメージされないのですが、調律の仕事はピアノの「保守管理」と言う側面も大きいです。
調律がおわればミッション完了…ではなく、調律師の仕事としてはむしろそこからスタートのつもりでいます。ぎりぎりのバランスで動いているピアノという楽器はいつ不具合が起こるかわからない。だからといって夜中に出ていかないといけないような緊急性のあることは少ないですが...
関わるピアノが多くなるほど、「あのピアノは無事に弾けてるだろうか?」と言うことが常にうっすらと頭の片隅にあります。
個人的にはこんな感じですかね。
プライベートでも音の狂いが過剰に気になる、みたいなことは僕はあまりないです。
地味でネタ的なものもありますが、労働時間や金銭的なことと違って、基本的に調律師である限りずっとついてくることな分、もしかすると人によっては致命的かもしれない。そんなピアノ調律師の地味につらいこと、でした。