ツンドクソウル
”一冊の本が人生を変え奇跡を起こす”
そんなことほんとにあるの?
『そんなことほんとにあるよ。』
今回はそんな話。※再下記にエピソード付
金曜日の仕事帰り
作業着を着たまま車で1時間走り、十和田市の”ツンドクブックス”へいった。
週末の給料日前はルンルンな気分。
給料日前なのになぜルンルンなのか?って?
それは1ヶ月、この日の為に日々節約し、本を購入する資金を貯めておいたからだ。
明日はようやく給料が入る。
今月残った分で、さぁどんな本を購入しようか。
そんなわけでルンルンなのだ。
ツンドクブックスへ到着。
柱時計の振り子が19:00を鳴らす
遅い時間は穴場帯
日中来たら大変。お客様が沢山いて、神経質な僕はゆっくり本を選べない。
閉店は21:00
張り切って店内の本を物色する。
相変わらず面白い本が揃う。
片っ端からとりあえず一冊ずつ手に取りペラペラとページを捲る。
1時間選び4冊をレジへ。
10分ぐらい店主とお喋り。
このお喋りがいい。
色んな情報が溢れる
お喋りの過程でプラス2冊追加した。
ここの店主の僕に向けた選書は今まで外れたことがない。このプラス本がまた、楽しみなのだ。
店主がレジ打ちしながら、たまたま僕が選んだ本をサラッとコメント。
「この本 この店をはじめるきっかけになった本なの」
ゲゲ。
人生を変えた一冊ってやつじゃん!!
恐れ多くて、そこから会話が続かなかった。
「ええー。そうなんですか?いい本選んだなぁ。楽しみです」
そんな味覚がわからない返答しか出来なかった。
本を抱え店を出てからは、その本が気になってしょうがない。
早く読みたい。ページ数も200ページぐらい。すぐ読める。
家に到着。
その夜は風呂にも入らず、洗った洗濯物を取り出すのも忘れてその本を読み耽った。
・島田潤一郎「古くてあたらしい仕事」
1ページを捲る。
著者、ゲゲ、僕といっこ違いじゃん!歳近っ。
いきなり親近感が湧く。
1ページ目でギュッと著者と距離が近くなる。
早速 目次からやばいでしょ コレ。
そそる。
えっ?
冒頭からヤバい。
このひと”島田さん”って、
”くすみ書房”のくすみさんが影響された本の”島田さん”だ!
こんなにも沢山の著名人に影響与えた本なんだなー。
読み進む
そういえば”くすみさん”の記事では島田さんのこと、”ひとり出版”と書いてあったな。
「(あぁ。やっぱり。ひとり出版の話からはいってる)」
本引用:だれかのための仕事
そうだよなぁ。俺って誰の為に稼いでいるんだろう?
会社の為?
上司の為?
うーむ。
考えてみればちゃんとした答えはない。
とりあえず考えられる答えは、家族や生活の為とここでは答えておく。
まずこの入りから色々考えさせられるね。
1990年代の話、背景が登場。
歳が近いからピンポイントでハマるわー。
一文字一文字に引き込まれる。
===ここから本文引用===
仕事をせんとや、生まれけむ
仕事をする楽しさ
仕事をする喜び
人は仕事がしたい生き物うずうず
本が部屋に一冊増えることによって、さっきまでの僕と、今の僕とは何かが変わっている。
人生は嘆いたり、悲しんだりして過ごすには、あまりにも短すぎる。
文豪たちの作品は、時空を超えた彼方からの手紙だった。
ボビー・バレンタイン監督!いたよね。
人生で最も大切なのは、人から必要とされることだ。
人生に行き詰まると、必ずといっていいほど本を買って、読んだ。
一冊の本を家に持ち帰ると、その本の存在がしばらく、ぼくの日々の明かりとなった。
ヘンリー・スコット・ホランド「自殺した子どもの親たち」
そのまま詩を本にして叔父と叔母に渡す。
それが次第に同じような境遇にいる人たちにも届けたい。と思うようになった。
本の完成には2年と4ヶ月かかった。
その間に3冊の復刻本をつくる。
数十年前の作家と編集者が魂を削ってつくった本に、もう一度あらたな息吹を吹き込んでみたかった。
魂のリサイクル
本を作るのに際して、考えたのは自分が欲しくなるような本をつくる、ということに付け加え他者がやらない仕事をするということ。
趣味でやっているのではない。
かといって、ビジネスでもない。
自分のやりたいこと、やるべきことを見つけ出し、それに専念する。
彼らが面白いと思ってくれるような仕事をしよう。彼らがいいと思ってくれるものをつくろう。
僕は具体的な誰かを思って本を企画し、実際に紙の本を作る。それしかできない。
具体的な読者の顔を想像し
1対1の手紙のような本をつくりたい
親密で、私信のような本
一冊の本が人生を救うというようなことはないのかも知れない。でも僕にはきっと、何かできることがある。
僕にしかできないことが。
本は考える時間をたくさん与えてくれる。
思い出す時間もたくさん与えてくれる。
読書というものは、すぐに役に立つものではないし、毎日の仕事を直接助けてくれるものではないかもしれない。でも、読書という行為には価値がある。
人は本を読みながら、いつでも、頭の片隅で違うことを思い出している。遠いアメリカの話を読んでも、自分の身近なことを通して、そこに書いてあることを理解しようとしている。
本を読むということは、現実逃避ではなく、身の回りのことを改めて考えるということだ。
自分のよく知る人のことを考え、忘れていた人のことを思い出すということだ。
以上(本文から)
////そして‥
触り程度だから、どんな本かのイメージは伝わらないと思う。ぜひ読んで欲しい。
本屋だけのカテゴリーに収まりきらない。
何にでも通じる話だから。
サラリーマン、歌手、風呂屋のおやじ、受験生、スポーツ選手、誰にでも通じる教科書になる。
これら響いた言葉はこれでも半分も綴っていない。
これらの言葉を並べると、この本がどういう本かはおわかりだろう。
本とは
人生とは
自分とは
他人とは
世の中とは
自分自身は、自分で人生の舵を取っているように思えるが、そうではない。
章は後半 だれでもやれる へ
今日、だれのために、なにをするのか。仕事の出発点はいつもそこだ。
大きな声は要らない。感じのいい、流通しやすい言葉も要らない。それよりも、個人的な声を聴きたい。
だれも、「いいね!」を押さないような小さな声を起点に、僕は自分の仕事をはじめたい。
日本中から本屋がなくなる一方で、あたらしい本屋さんが少しずつ増えている。そうだ。
本来の”本”の姿が浮き彫りになり、進化しているのではないか。知識の威力を増して。
島田さんみたいな本屋を筆頭に。
そして島田さんは言う。
こうした人の本質に行き届いた”箱”は人の顔を明るくはするが、巨利を生まない。
日々生活するだけで精一杯。中にはバイトをしながら運営している書店もあるという。
人の上に立つ人たち
野村監督の名言から引用しても、
「金を残すは三流、仕事を残すは二流、人を残すは一流」
と言っていたのを思い出した。
お金や仕事ができても何も残らないんだな。とその時思った。
本当の富や財産は他人に愛されることだ。私はそう思った。
私はこの本を読んで父親の背中を思い出した。
父は田舎の不便な場所に暮らす人達に毎日食材や備品を運ぶ個人のトラック運送屋だった。
僕は子ども心に”なぜ?人が沢山いる場所へ効率良く売りに行かないの?”とばかにしてました。
深夜2時には1時間以上かけて市場へ買い出しに行き、大量の食料をトラックに積み、各田舎の山路へ向かう。
大雪でも豪雨でもトラックがパンクしても正月でも、田舎に住む足の悪いお年寄りがいるから。と自分の体調を後回しに客人のいる場所へ向かった。
そんな親父の商売にも時代の風が強く吹く。
コンビニエンスストアが普及し、宅配車が増え、親父はそれでも商売を続けていた。大手は親父のように奥深い場所までは行かないそうだ、と後から聞きました。
ある日、親父の小さな3トン車はエンジンの故障で動かなくなってしまった。
日々赤字経営の親父の商売は新しい車を買えずにそのまま営業を途絶えてしまった。
普段顔を合わせない親父が夕食に加わり、毎晩お酒が入ると言っていた。
「あそこのお婆さんは、どうしているかな?大丈夫かなぁ。どこどこの爺さまは今年で80歳だ。あそこの家は雪深いからなぁ。」
心配が尽きない話ばかり。
親父のトラックが来るという事で、除雪車が通る路もあったそうだ。親父のトラックがもう来ないとなると、その路も雪で覆われるそう。
親父は人に愛されていたんだと思う。
冒頭で島田さんが叔父と叔母へ向けて本をつくりたい。とはじまった本つくり。
それは完成し、
そして皆んなにも読んで欲しいと出来上がった。
ヘンリー・スコット・ホランド
「さよならのあとで」
なんと、ぼくはこの本を手にとって読んでいた。
文章を打ちながら今思い出しました。
ツンドクブックスにあります。
たぶん再度店にもどり本を読むと絶対泣くね。
ここまでの物語を知ってしまったから。
【ここからは人生を変えた本:リアル編(実際にあったエピソードを抜粋しました)】
◎カメラマン:沖守弘 本「マザー・テレサ”素晴らしいことを神さまのために”」
沖さんは取材の為、インドのカルカッタに行きます。
ところが人々の想像を絶する貧しさと、道ばたに死体が転がっている町の状況に精神的にまいってしまい、すぐに日本に帰ろうと思っていました。
そんなある日、沖さんは古本屋で一冊の本に出会います。
表紙のマザー・テレサの笑顔の写真が、一条の光となって沖さんに語りかけてきたといいます。
沖さんはすぐマザー・テレサに会いに行きました。
そして、マザーの写真を撮る許可を得、やがて日本にマザー・テレサの活動を紹介していきます。
後に沖さんは本を書きます。
沖守弘「マザー・テレサ あふれる愛」
この本を読んで、どれだけ多くの人たちが影響を受け、勇気と愛をもらい救われてきたことか、計り知れません。
◎くすみ書房店主:久住邦晴 本「世界最強の商人」
何度も本に助けられています。
不思議なご縁で、導かれるように一冊の本に出会いました。
ひとりの少年が主人から授かった巻物に書かれていた十ヶ条の成功原理を学び、やがて世界最強と言われる商人になる、という話です。
その巻物の第一の誓いは「私は二度と再び、自己憐憫や自己卑下はしない」というものでした。
自己憐憫(じこれんびん)とは自分を可哀想と思うこと。自己卑下とは自分を人より卑しいとか、劣っていると思うことです。
「どうせ俺なんか」とか「自分はダメだから」というのは、大昔から本当に多くの人たちが陥りやすい単なる言い訳なんです。
だから、成功原理の1番はじめにきているわけで。
まず、これを正すと‥
”私は成功するために生まれてきた。失敗するためではない。
私は勝利するために生まれてきた。敗北して頭をたれるためではない。
私は勝利を祝うために生まれてきた。泣きべそをかいたり、泣き言を言ったりするためではない。
そして、第一の誓いは次の言葉で終わっています。
「もし、私が試みさえすれば、私に成し遂げられないことは何ひとつない」
もうダメだ。と、弱音を吐く時に、この言葉を口にしてみて下さい。
”私は成功するために生まれてきた。失敗するためではない”
”私に成し遂げられないことは何ひとつない”と。
そしたら楽になりますから。
以上:オグ・マンティーノ「世界最強の商人」
◎瀬谷ルミ子 写真「ルワンダの難民キャンプでの親子の写真」
彼女の職場は武装解除です。
えっ、武装解除って何!?
と思いますよね。
武装解除とは、紛争が終わった後に兵士たちから武器を回収して、一般市民として生活していけるように職業訓練をほどこし社会復帰させる仕事。
仕事場はアフガニスタン、ソマリア、スーダン、ルワンダなどの紛争地域です。
こんな日本人がいたのかと驚きですね。
彼女の心を動かしたものは高校3年生になった時に見た1枚の写真でした。
新聞を何気なく捲っていた朝に彼女の人生が変わりました。その写真はアフリカのルワンダ難民キャンプでの親子の写真でした。
コレラで死にかけている母親を泣きながら起こそうとしている3歳の子供の姿…。
強い衝撃を受けます。なぜ?誰も助けない?
いくら考えても分からなかった。
それだけ世界の仕組みは複雑で想像も出来なかった。
「答えを知りたい」
彼女は強く思います。
あの子たちは救世主を待っている。自分が状況を変える側の人間になればいいんだ。
彼女は紛争問題について学ぶ大学を探します。しかし日本には無かった。
日本に無いなら、とイギリスのブラッドフォード大学の大学院まで進んだが、この時は専門教授がいません。
そこで彼女は「現場にいくしかない!」とアフリカに飛びます。
彼女のポリシーは「やらない言い訳をしない」こと。
「できない」事と「やらない」事は決定的に違います。「できない」事は今は出来なくても努力して将来出来るようになる。「やらない」事は、自分の気の持ちようで変える事が出来る。こんな素晴らしい日本人がいる事を知ってください。本も出ています。
瀬谷ルミ子 「職業は武装解除」
◎ジャーナリスト:山本美香
同じく、戦争繋がりで女性をひとつ。
山本さんは世界の戦争ばかりを取材していました。
レバノン、コソボ、ウガンダ、イラク、アルジェリア、アフガニスタン、チェチェン‥危険な場所ばかりです。
なぜ?そんな危険な場所にまで行くのか!?
山本さんは紛争地で何千人、何万人の人が命を落としている現状を世界の人たちに伝える事が、平和への近道だ。という信念を持っていました。
命をかけてありのままを世界に伝える。それが唯一の戦争を無くす方法だと。
彼女は言います。「知らない事は”罪”だ」と。
いま、紛争地で何が行われているのか。
紛争地で暮らす子供たちは何を体験しているのか?子供兵は30万人以上いると言われています。
どうして同じ人間が憎み合ったり、殺し合ったりするのか。
なぜ戦争が起こってしまうのか。
平和の為にはどうしたら良いのか。
山本さんは取材し、考え、そして若い人にこう語りかけます。
”私たち大人は、平和な社会を維持し、できるだけ道を広げていけるように努力します。
そして、これから先の平和な国づくりを実行していくのは、君たち10代の若者たちです。
世界は戦争ばかりだ、と悲観している時間はありません。
さぁ、みんなの出番です。”
この言葉にうながされ、実際に行動を開始した高校生がいます。
山本さんのいた地元の高校生たちが立ち上がりました。いま、自分たちにできることを考え、実行し始めたという事です。
山本さんは2012年にシリアで銃撃され命を落としました。
山本美香 「戦争を取材する 子供たちは何を体験したのか」
それから彼女の意思はしっかりと”本”になり出版された。彼女の遺書のように。これからの若者たちに向けて。
最後に。、本は読めば読むほど自分の内なる確信に迫ったものが見つかると思いきや、これも人との出会いと一緒。何となく神がかったタイミングでないと会えないような所があります。
本もまさに出会いですよね。
という事は常にこちらも身構えておかないと出会いも無いわけで。人との縁も本との縁もちゃんとアンテナを張っておいて取り逃がすことのないようにしなきゃ、と思う。
読むだけ人の人生もあり、死を経過した今でも本を通して影響を与える人たちもいる。
なぜだろう。
本だと距離が近く感じる。読み終えた時に本の中の人物が、隣にいるような感覚。
それは自分がページから得た想像感覚なのだろう。それだけ本がもたらすイマジネーションはどんな媒体よりも大きいと僕はいつも感じる。
僕はこの本を通じて中村哲さんの本を早速購入した。偉人たちの声を本を通して聞こうとしよう。もはやこの世にはいない偉人の声は、本を通せば聞こえるのだから。
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