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マイブロークンマリコ ロケ地を語る

映画マイブロークンマリコは知っているだろうか?

その映画に出てくる”まりがおか岬”のロケ地となった場所は一体どこだったのでしょう。

行ってみたいよね。

探してみましょう。

タナダユキ監督は原作になった漫画「マイブロークンマリコ」を読み 直ぐに映画化しようと始動。何社かとの競り合いに勝ち、その2年後には映画を上映し実現に至る。

その映画を撮るべく苦労した面が映画全体を締め括る大きな要素となる”まりがおか岬”だ。

イメージ通りの”まりがおか岬”はなかなか見つからない。 
そんな時にようやく見つかった場所が青森県八戸市にある”種差海岸”だった。

タナダユキ監督は漫画原作に忠実にススキの穂が揺れる岬の画を映画で見事に再現した。

(イメージ写真11月:イマサライダー)

司馬遼太郎がこの場所を訪れた時に本に書き記している。
「どこかの天体から人がきて地球の美しさを教えてやらねばならないはめになったとき、1番にこの種差海岸に案内してやろうと思った」と。
それだけ、この岬は人を魅了する。

この場所には歴史がある。
過去何百年前から訪れる人をさぞ魅了してきたことでしょう。

その場所が映画でお披露目され
人の目につく
沢山の人に知られ
これからも沢山の人を魅了して欲しい。
今回の上映会は改めて良いきっかけとなった。

”僕らは同じこの地球の大地に暮らす。
生きているうちにぜひこの景色を見せたいものだ”

地元の人もよく種差海岸に行く
なぜだろう
それはどうしても 行きたくなるのだ。

緑に敷き詰められた大地と青い海と壮大な空とのコントラスト。秋にはススキが銀色の光を帯びチラチラと揺れ動く
冬には寒々と海からの飛沫は岩肌に氷をつくり独特なオブジェのような景観に変わる。
寂しいというより力強い男の力こぶのような波と風の荒々しさを肌で感じ取る。

この場所の四季の変化はどれもいいが、僕は特に青々とした緑の芝生が好きだ。一日中寝転んで時を過ごしたい。
今年11月に亡くなった「火野正平」さんのエピソードを本日の上映会にゲストとして来て頂いた”柳沢卓美”さんから聞いた。

「火野正平」さんが”心の旅”の自転車旅で種差海岸へ訪れた時のエピソード。
火野さんはあまりの芝生の美しさに自転車を停め裸足になって種差海岸の芝生を踏みしめて遊んだと言う。
”これが本来の人間の感覚なのさ”
それは裸足になって踏しめる地球の大地の感覚だ。

朝日が昇る太陽に”おはよう”と言い
月が出る夜に”おやすみ”と言う

美味しいものを食べたら”美味しい”と言い
感動する映画を観たら”明日もがんばれる”と自分に言い聞かせる。

僕らは人間だ。素直で シンプルでいい。

〈裸足になって駆ける それが大地に触れること〉

映画の話に戻る。
まりがおか岬にシイノとマリコの遺骨は到着しマリコの遺骨は散り散りと、風にのって遠くに飛んでゆく。キラキラと銀色に帯びたススキの穂のように自由にゆらゆらと波のリズムのように。
それはマリコが望んだ結果だったのだろう。

シイノが遺骨を置いて投げやりにマリコを罵倒するシーン。
そのシーンは鮫角灯台を背にしてマイルポストを右手に見て、その場所を上りきり、そこから30歩 下り降りた6畳間ぐらいのスペースの場所だ。

マリコとシイノが抱き合うシーンもその場所で、詳しく解説すると、
抱き合うシーンはその2人の背後に葦毛崎展望台の形がしっかり見えているから、シイノは北の海を見、マリコは鮫角灯台を見ながら抱き合ったと想定できるシーンだと思う。 
なぜお互い目を開いたまま抱き合ったのか‥
それは抱き合った後には、それぞれお互いが違う道へ向かうのが分かっていたかのように僕には想像できた。

〈鮫角灯台があり、第一葦毛崎展望台があり、北側には臨海工業地帯が見え、背後に大きな山も見える最高の場所〉
〈ススキは元気がいい物を他から刈り取り、シーンのため、この場所へ差し込んだ。〉
〈シイノの頭上に”第一葦毛崎展望台”が見える〉
〈マイルポストを降りて30歩の場所がここ〉


シイノが崖から落ちた砂地。
・この場所は葦毛崎第二展望台の階段を降りてすぐの岩陰だ。
第二展望台といっても第一よりは大分ショボくただロケーションが良い場所にベンチとテーブルがあるだけのものだ。そこを降りる。

〈第二葦毛崎展望台〉
〈その下を降りて左手〉
〈この場所がシイノが横たわったシーン。11月後半に、びしょ濡れで寒かったそう。本当は原作通りに水に落ちるシーンだったらしい〉


マキオとの歯磨きのシーン。
「僕 歯磨き好きなんですよ」

・種差海岸芝生から階上方面へ歩くと白浜を渡り船場へたどり着く。

この場所が種差漁港。シイノが一晩寝た青い小舟”賀正丸”があり、歯磨きをしたシーンがそのままロケーションとしてある。
歯磨きのシーンは監督タナダユキが”まりがおか岬”へ行く前にシイノをすっきり気分転換をした印象にしたくて入れたシーンだそう。
監督も気分転換には歯磨きを取り入れるように、”歯磨き”には映画”タバコ”のように時間を一旦忘れるような気分転換(副交感神経を優位に)要素があるそうだ。

〈やっぱ腰に手を当てて磨くのね〉
〈歯ブラシを特定:サンスターOra2ステインクリアだ〉
〈スッキリ歯磨きのシーン〉
〈歯磨き岸壁〉
〈歯磨き船 賀正丸(手書き?)〉
〈船で寝るのもいいなぁ〉
〈種差海岸から歩いて20分〉

夜の種差海岸。
・この種差漁港から見た種差海岸の芝生が少しだけスクリーンに映る時がある。
それがシイノが食堂で酔う前に、一度遠目で夜の種差海岸街の灯りがうつる場面だ。
この角度から種差海岸を見た人は何人いるだろう。この場面も新しい角度で種差海岸を見る機会にはおすすめしたい。

〈種差海岸は夜でも美しい〉
〈この歯磨き岸壁から”夜の種差海岸”は撮影された 夜の月明かりに照らされた芝生が美しい〉

レトロな備品会。
壊れる⇆壊れない 物のコレクト。

映画タイトルに反するように、よーく眼を凝らすと見えてくる監督のさり気ない反骨心。それは、タフで壊れないドクターマーチンのブーツだったり、1985年式でもなお営業車の南部バスで1番古い車両を使用、シイノの部屋に転がっていた”タイガーマスク”のマスク(被る?)。マキオが使っている魚用のクーラーボックスである。

これらはタフで今現在も現役なモノたちなのだ。
タナダユキ監督はこれらをコレクトし、少しでも”ぶっ壊れない”気遣いを”マイブロークンマリコ”述中に投げ込んでは、救いを与えたのだろう。
僕ら40代の高校生の時はドクターマーチンやレッドウイングブーツが流行っていた。高価な物を買って貰ったのに、作中の様に秋口になると箱から出すと、よくカビらせていたのを思い出した。
そしてマキオのクーラーボックス。釣りが趣味の人曰く映画の中で使われた魚用のクーラーボックスは相当古い物だそうだ。冷気漏れをいくらでも無くすための上部の蓋を開けずに丸い魚投入口から直接入れられる昔にはあった代物で、今回の上映会で同じ物を手配しようとしたけど廃番になったメーカーだった。ちなみにあの塗装された緑色も現在ではほぼない。
そして何故タイガーマスク?と思うだろう。
それはマスクを被ったヒーロー像をマリコに対してシイノは思い描いていたひとつのアイテム的証拠だったのだ。

〈タフな靴 ドクターマーチンはミュージシャン The Whoが先駆けで流行させた イギリスの労働者を画面を通してリスペクトも込めて履いた〉
〈やがて労働者靴はミュージシャンの影響で音楽のテイストに取り入れられる 無骨とタフなロックテイスト〉
〈やがてタフさにもアレンジが加わる〉
〈アレンジすることでそれぞれの個性をアピールするアイテムとなる〉
〈様々なアレンジは靴のジャンルを飛び越し 服やアクセサリーにも波及 高校生は学生ジャージを切り上げ ダメージ加工や貼り付けで お洒落な自己アレンジを楽しんだ〉
〈マキオのクーラーボックス〉
〈釣具店店主曰く マキオの使用したものは、昔流行った上部口入れ式のクーラーボックスで今は入手困難 緑色のものは目立ちすぎて数があまりない バックルの金具も今殆どがプラスチックになってしまった〉
〈やっとで見つけた冴えた緑色のクーラーボックス マキオの使用タイプは頑丈で何十年も使えたそう〉
〈上映会ではアンケート用紙回収ボックスに使用しました〉
〈1985年式ナンバー624のレトロ車両。乗れたらlucky〉
〈なぜ?タイガーマスク〉
〈さり気なく僕がつくったポストカードを置く〉


最後の手紙。
・作中での手紙のシーンの殆どは実際にマリコ役の”奈緒”がタナダユキ監督のアドバイスの元 書いた物を読み上げている。手紙の内容も作家でもある、タナダユキ監督の創作で、それを”奈緒”が自らの字で書いた。
しかし、最後の手紙を開けるシーン。
そのシーンだけはシイノ役の”永野芽郁”は本番まで開けてない(内容を知らされていない)手紙だったそう。
”永野芽郁”はそのはじめて読む手紙を読んで、あのリアクション。そして一発取り=オッケー。

さすがプロは違う。

〈作中:マリコの手紙〉
〈作中:マリコの手紙〉

ロケ地に携わった地元エキストラや、案内人は口を揃えて言う。

「タナダユキ監督はこれといって細かい指示やダメ出しはあまりしません。演じる人を信じてありのままの雰囲気を重視する」

それは人の自然体の力を信じるタナダユキ監督のやり口なのかも知れない。

※ロケ地マップ貼り付けておきます。

〈左:原作漫画(一巻完結) 右:映画パンフレット(平庫ワカさん表紙手書き〉
〈漫画家:平庫ワカさんから直接の映画感想!!なんと!今回の話 夢の中に出てきたものを作品に書いたのだそう!夢の中からの暗示って本当にあるそうですよ〉


etc…僕の考えたポストカードの件
・上映会にあやかり映画をイメージしたポストカードを置かせてもらった。

 ひとつはマイルポストがある独特なロケーションの写真。
夕暮れ時に電車の灯りがつきはじめる。そのタイミングが、マイルポストの場所と重なった偶然なる一枚

ひとつは映画をみて気持ちを詩にしたものが一枚

ひとつは2年半に1度しか見れないブルームーンの夜に暗闇を走る最終列車と灯台の灯りとブルームーンの妖艶な雰囲気を取り出した一枚

この3種のポストカードをお土産に置かせてもらった。
僕の紙におこしたイメージが持っていった人にどう伝わるか皆んなの頭の中に少しでも浸透してくれたら嬉しい。

〈70枚刷り 約20枚余った はじめてにしては上出来〉
〈映画ロケ地のマイルポストを夕暮れに沈む太陽を追いかけて電車が走る 車内の灯りはついたばかりのタイミング〉
〈印刷機が無いからコンビニ印刷…年賀状感満載…〉
〈マイブロークンマリコをイメージした”詩”〉
〈ブルームーンの夜 灯台の灯りと車の灯りと最終列車の灯りとブルームーンの灯り 2年半に一度しか無い 夜灯りのフェスティバル 天気が悪いと次の機会は5年後となる〉
〈恥ずかしながらも配布ボツとなったお手製マップ〉
〈ススキがふたりの姿をいたずらに隠す 綺麗なものは見すぎると姿を隠してしまう造物にもなり得る〉
〈タイガーマスク仮面〉
〈下田駅〉
〈八戸港フェリーターミナル〉
〈青い森鉄道〉

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