技巧的なズレ
人と話をするのは疲れる。
家へ帰り、お風呂あがりに布団に横になる。
ぐったりだ。
何でこんなにも疲れるんだろう?
今日を振り返ってみる。
”間”だ。
人と人とが、隣あって逃げ場のない状態は
”間”を取り持つ工夫が必要だ。
最初はいい。
お互い席が隣だという新鮮味で、「あっ。どうも。宜しく」など、
挨拶をしながらさりげない会話ができる。
しかし、それが何時間も続く‥となると、どうだろう?
もはや仕事どころじゃなくなる。
相手方の様子が気になってしょうがない。
喉が渇いた。
飲み物を買いに行く。「いや、ちょっと待てよ。自分だけが飲むわけにもいかない。」
相手分も次いでに買っていく。
向こうはこうだ。
「買ってもらってしまった。次は私が返さないと‥」
お互いにストレス
飲み物を飲むと今度はトイレだ。
頻繁に行くわけにもいかない。
膀胱の大きさは人知れど、相手方より回数を上回うわけにはいかない。
相手の様子を見て我慢する。ちょっと股間がモジつく。
お互いにストレス。
窓際の席に日が差しこむ。
暑い。
ブラインドを下げたい。
でも相手方は暑いと感じてないかも‥
少し腕まくりをしてパフォーマンス
それでも相手方は暑くないらしい。
どうしよう
額の汗を拭う。
また喉が渇く
グビグビと飲む。
「あちゃー。、やっちゃった」
膀胱が破裂しそう。
「すいません。ちょっとトイレ」
得点はイーブンペースからマイナス1ポイントになる。
トイレからもどる。
「暑い。グビグビ」
今度はパフォーマンスじゃなく、本気でシャツの胸元のボタンをゆるめる。
「グビグビ‥あちゃー、やっちゃったぁ」
飲み物がなくなる。
日は容赦なく僕の体毛を育てようとする。
「いらんいらん。光合成はしない。」
体毛から汗が吹き出るのが見える。
「すいません。ちょっと飲み物買いに‥」
得点はマイナス1ポイントからマイナス2ポイントになる。さて、逆転のチャンスは?
まあ無理だろう。
自販機の前
今度は1人分だけ買う。とっても大きいサイズにした。喉の渇きと膀胱の刺激も競い合う。
席に戻る。
「あの?窓開けていいですか?」
窓を開ける。
一気に風が入り、隣の人の人工的な髪型が技巧的に動く、、。
隣の人はしばらくしばらく、そりゃあ、しばらく帰って来なかった。
逆転サヨナラホームラン!
人付き合いは疲れる。
そして苦手だ。
明日はきっとサヨナラホームランはないだろう。
人付き合いとは”イーブンペースを保つこと”である。