【ドイツで職業訓練】採用の可否を決めるトライアル労働
前回の記事はこちらから。
面接後、別の日に半日だけ働くこととなった。
その時の動きで採用するかどうかが決まる模様。
私はHotelfachfrauという職業訓練を受けていた。
ホテル全般の業務を学ぶ。
以前日本にいた時にフロントで働いていた経験があったので、こちらでも受かりやすいかなと思い、色々なホテルに応募していた。
この職業訓練ではフロントだけでなく、レストランやバーの接客からハウスキーピングまで様々な部門で働き、知識を身につける。
試しに朝食サービスで働くことになり、面接の時に言われた通り朝7時に出向いた。
フロントの男性に要件を伝えると、話が通っていなかったようで、「ちょっと待ってて」と言われ、バックヤードに通された。
そこはPCが4台しかない小さな空間で、個人経営の雰囲気が漂っていた。
良い。とても私好みの雰囲気。
そして男性が再び現れレストランに案内される。
そこには2人の中年女性が作業していた。一人は短髪の姐御、もう一人はふくよかなマダム。
男性が私のことを説明すると、2人とも首を傾げた。誰も私が来ることを知らなかったようだ。
この誰にも話が伝わってない感じドイツっぽい。
それでもとりあえずやってみましょうと、ふくよかなマダムからエプロンを渡される。
私は以前ジャパレスで3年間ほどドイツ人相手に接客をしていたが、それでも緊張した。
あそこに来てたのは日本にある程度理解/興味がある人だったし、英語で接客してたし、従業員全員日本人だったし。
ジャパレスは私にとってはホームのような場所だったが、ここはまったくのアウェイ。
この2人の女性たちの、これから来るゲストたちの話す言葉が果たして理解できるだろうかと不安で仕方なかった。
短髪の姐御はキッチン担当で、ふくよかなマダムはサービス担当のようだった。
ふくよかマダムからゲストが来たらコーヒーか紅茶か尋ねるように言われ、それを持って行ったら部屋番号を訊くようにと指示される。
レストランで待機している時(誰も来るな〜ッ!来ないでくれぇ〜ッ!)と願ったが当然来た。
“Guten morgen…!”
明るく挨拶したつもりだが顔は引き攣っていたに違いない。つづけて“Möchten Sie Kaffee oder Tee?”と訊くと“Kaffee bitte”の返事。
自分のドイツ語が伝わったというのと、簡単な返事で助かったというので安心しながらコーヒーを淹れる。ぎこちない笑顔で渡して部屋番号を訊くと一通りの作業は終了。
ビュッフェなので配膳する必要はなかった。
私が来たということで、本来はサービス担当のふくよかマダムは洗い場に引っ込んでしまった。
私の仕事っぷりを見ないといけないからという理由からだろうけど、まさかドイツ語下手くその私一人でホール全部任されるなんてと焦った。
「何かあったら呼んで」と姐御とマダムがタバコ休憩で頻繁に一緒に抜けるのにも焦った。
その後ポツポツと少しずつやって来るゲストに、一人で同じ対応をしていく。
そしてゲストが食べ終わったら一声かけて食器を下げる。退席したらテーブルを片付ける。料理が少なくなってきたらキッチンに声がけをする。
終始緊張はしていたが、長い間飲食のサービスに従事していたおかげで、何をすべきかの大体の要領は自分で把握することができた。
そのため、姐御とふくよかなマダムからお褒めの言葉を貰った。
「あなたとっても良いわ。あなたを採用するようにボスに推薦しておくから」という言葉を聞いた時はめちゃくちゃ嬉しかった。
確かな手応えを感じてお試しデーは終了した。
実際職場の雰囲気も私好みで良かった。
あそこで働きたい⋯!と強く願ったので好印象アピールで今日はお招きダンケのフィードバックも即送信。
そして3日後採用のメールが届く。
メールを受け取った時は歓喜で飛び上がった。
こうしてHotelfachfrauの職業訓練こと3年間のAusbildungが始まった。