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深海に生きる


護ることは手放すことだというのは
少し寂しいような気がしたけれど、
それで君を青空の下へと
かえしてやれるならいいと思った

命はすべて同じ重さだと言った誰かは
この深海に生きるぼくと
イコールで結ばれることを
よしとするだろうか?


命が途切れる瞬間まで
この手を離さないと約束してくれた君を
殺したくなかった

ひとつ、ひとつと作られる
泡ぶくの数が増えるごとに
君が消えていくのを見たくなかった

ぼくを見るまっすぐな視線に応えたまま
ゆっくりと手を離す


君が笑った
ぼくも笑った

涙が海に溶けていく
遠く小さくなる君を
いつまでも見送った


たしかにここにいたことを
海が覚えている限り、
ぼくらはずっとひとつなんだ

見えなくても、聞こえなくても、
温もりは、君がくれたすべては、
この胸の中に在りつづける


どうか、笑っていて
誰よりも幸せでいて
苦しみから遠いところにいて


僕のことを、
どうか

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