=ENJOY FILM CAMERA= 今、フィルムカメラが面白い
<小林さんのフィルムカメラとの出会い>
ー小林さん、本日は、よろしくお願いいたします。 まず、フィルムカメラの楽しさを伺う前に、どうして小林さんは、カメラ屋さんの仕事をされるようになったのかを教えて頂けないでしょうか?ー
小林さん : じつは、前職が家電の売れ行きを調査する仕事をしていて、そこでフィルムカメラの情報を取り扱うことがありまして。 その時に初めてカメラというものを意識しはじめました。
ーなるほど、それが最初のきっかけだったのですねー
小林さん : その時に購入したのが、FUJIFILM(富士 フイルム)の “NATURA S”という機種で、暗いところでもフラッシュ撮影しなくてもある程度きれいに撮影できるというものでした。 思いのほか、あまり夜の撮影をする機会はなかったですが。(笑) ただ、撮影が本当に面白くて、日中に友人や親戚、あと風景なども色々と撮り始めました。
ー小林さんが、その時に購入された物はコンパクトカメラですか?ー
小林さん : そうです。 その後、実家で一眼レフのカメラを見つけまして、それで撮影をするようになったら、より一層楽しくなっていきまして、カメラや写真に携わる仕事に就きたいと思い、今に至る感じです。
<フィルムカメラを選ぶ人は?>
ー小林さんが働かれている”にっしんカメラ”さんでは、フィルムカメラを買う人はどのような方が多いのでしょうか? ー
小林さん:そうですね。 今は、20代の方が圧倒的に多いですね。 あまりフィルムカメラを知らないというか、デジタルが主流の世代の方が訪れることが多いですね。 あとは、海外の方も非常に多いですね。
ー若い世代の方が多いんですね。ー
小林さん : 高額なデジタルカメラをうちのお店に売りに来られて、そのお金で新しくフィルムカメラを買って始める方とかもいらしゃいますね。
ーそれも面白い流れですね。 デジタルからアナログにいくわけですね。ー
小林さん : そうですね。 フィルムカメラの写真は、均一性が高いデジタル写真とは違い、ノイズがあったり、特徴的な写真が撮れますよね。 もちろん、機種やフィルムや技術によって、ノイズが少ない綺麗な写真を撮影することもできるのですが、フィルムカメラには独特の雰囲気がありますよね。
ーなるほど、アナログならではですねー
小林さん : フィルムカメラを購入される方は、レトロさ、ノスタルジックさを楽しんでいるように思います。 もしかすると、昭和の純喫茶だったり、レコードとかの懐古的な要素をフィルムカメラにも求めているのかもしれませんね。 今は、20代の世代がフィルムカメラの人気を引率しています。
<フィルムカメラの魅力>
ー小林さんのお話を伺っていると、フィルムカメラにすごい興味が湧いてきますー
小林さん : それは、カメラ屋としては嬉しいです。 フィルムカメラの場合、デジタルと違うのが、フィルムを入れ替えたり、フィルムの巻上げとか、そういうアナログさが面白いんですよね。
シャッターの感触とか、ファインダーを覗く一連の動作は、やっぱりフィルムカメラの醍醐味ですよね。
ー確かに、フィルムカメラならではの作業や感触ってありますよねー
小林さん : 撮影した写真なんですが、 デジタルだと撮影後に写真加工して雰囲気を作る場合がありますが、フィルム写真は、色味や写り方に独特の味があるので、加工しなくても雰囲気がある写真ができたりします。 あと、レンズにも個性があるので、一眼レフのカメラでしたら、レンズ交換したら写真の出来上がりは変わりますが、明らかにフィルムには個性があるので、使用するフィルムの種類を交換するとかなりイメージは変わります。
ーフィルムを交換すると、そんなに写真のイメージは変わるのですか?ー
小林さん : はい。結構、変わりますね。 Kodakのフィルムでしたら黄色味、赤みがあったり、FUJIのフィルムだと緑みや青っぽいものがあったりと、それぞれにフィルムの個性があります。
ーそうなのですね。 すごい面白いです。 ところで、フィルムのカメラは、中古が多いかと思うですが、現在でも製造しているメーカーはあるのですか?ー
小林さん : あまり多くはないですが、あります。 Lomography(ロモグラフィー)などは、いまだに精力的にフィルムカメラを作っていて、面白いレンズやフィルムも発表していますね。 あと、カメラでお馴染みのLeica(ライカ)も製造しています。 最近、フィルムカメラが再注目されていることもあり、PENTAX(ペンタックス)が新しいフィルムカメラの製造・販売を行うことが発表しました。
ーそれは、すごいです。 新たにフィルムカメラを製造する流れが出てきてるんですね。ー
小林さん :私にとって、フィルムカメラはカメラの仕事に就くきっかけになった物なので、また注目されるのことは、非常に嬉しい限りです。 私が思うフィルムカメラの魅力は、やっぱり、現像があがってくるまでの時間なんですよね。 アナログなので、パソコンを繋げば、すぐに見れるわけでもないですし。 見ていたものや想像していたものよりフィルムの場合はそれ以上のものが出来上がることがあるんですよね。 写真が出来上がるまで本当にわからないので、その写真に出会うワクワク感は堪らないです。 フィルムカメラは “いい待ち遠しさ” を与えてくれますね。
最後まで、ご覧いただきありがとうございます。
フィルムカメラにご興味がございましたら、にっしんカメラの小林さんをぜひ訪ねてみてください。
文 : 荒岡 敬
写真 : 小林 浩平