読書記録「名探偵じゃなくても」
『このミステリーがすごい!』大賞シリーズ。
前作「名探偵のままでいて」から少し後の世界。
続編となる「名探偵じゃなくても」が発売されたのは2023年12月。実は、発売してすぐに購入していたけれど、読まずに置いていました。
なぜなら、前作の余韻をまだ味わっていたかったから。前作はそれくらい好きなラストだったため、それが壊れないか不安でもあった……
でも気になっていた、前作のラストで読者へ提示されるひとつの謎の答えをそろそろ見たくて、積んでいた「名探偵じゃなくても」を開きました。
今作も優しい気持ちになれる推理小説でした。
主人公・楓におじいちゃん、楓の同僚・岩田先生に劇団員・四季くんの前回メンバーに加え、キャラクター達が魅力的。おじいちゃんの教え子で紳士な我妻さん。我妻さんが加わったことで、物語も引き締まった感じがする。
また、岩田先生と四季くんは不可侵条約を結んだことで、楓・岩田先生・四季くんの三角関係に変化はなし。3人仲良くしている。
楓は少し明るい服が着れるようになるなど、よい方向へ変わってきた。
でも、おじいちゃんだけが、認知症がすこしずつ悪化してきている。
この物語はたくさんの名作ミステリーが出てくる。今作では"ヒッチコック"の映画がたくさん出てきました。
観ていたら物語がもっと楽しめたのだろうと思うと、ちょっと悔しい。調べてみたら、あまり配信はされていないみたい。レンタルショップへ行くしかないのかな。いつか機会を見つけて、観てみたい。
あと、楓が"小説"を選んで読む理由に共感した。
それは"漫画"や"雑誌"だと話しかけてくる大人がいる、というもの。確かに教室で漫画や雑誌を読んでいると話しかけられたり、貸したり貸されたりの話になるけれど、小説だとあまりなかった。自分の世界に没頭したいとき、小説はゆっくり休ませてくれる。
前作のラストで主人公・楓は恋をする。
岩田先生か、四季くんか。楓自身も曖昧な様子だったけれど、今作でハッキリひとりに絞ったように書かれていた。
でも、相手は明かされない。楓は冒頭で"まだ告白できそうにない"と心情を表していて、楓が心を寄せる相手については読者の推理に任されている。
表紙は主人公・楓。前作の表紙より笑顔になっていて嬉しい。
作中で触れている"桜色のハーフコート"を着ている。そして周りには"マーガレット"が描かれている。マーガレットの花言葉は『心に秘めた愛』らしい。
楓~~誰への心に秘めた愛なんだ~~。
私の予想は"ミニポインセチアの鉢植え"を贈った相手。ポインセチアの花言葉は『私の心は燃えている』。
また、第4章の出来事は、決定打だと思う。
この物語の中では、2回クリスマスを迎えている。1年も関係が変わらないゆっくりな恋模様である。
でも、1回目のクリスマスでは岩田先生と四季くんの"不可侵条約"について触れていたことに対し、第5章での2回目のクリスマスでは触れられていない。
2回目のクリスマスにかかってきた電話には"愛するひと"の名前が表示されている。第4章と第5章の間は約1ヶ月。この3人の三角形がどうなってしまったというの。
認知症が進んでいるおじいちゃんも心配だし、楓の恋の模様。
たぶん次作は、買ったらすぐ読んでしまうと思う。
▽読書記録「名探偵のままでいて」
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