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読書感想「ここで唐揚げ弁当を食べないでください / 小原晩」
作者がどんな人なのかは知らない。
でも、タイトルが忘れられなかった。
「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」
本屋で手に取って、薄さに驚いた。後から知ったけれど、自費出版のエッセイ本。自費出版って自由なんだな〜。
買うか悩んで、試し読みがてら、最初の一篇を読んでみた。表題のエッセイ。たった2ページのエッセイだったけれど、購入を決めた。
持ち歩きのお供になってくれる大きさの本。美容室の待ち時間に、この本を読み始めた。敬語と口語が入り混じったような文章が好き。書き手と読み手の距離感が心地よかった。
外で流れるように読むのも良さそうだけど、家に帰ってからじっくり読もう、と本を閉じた。帰ってから読み進めると、作者が美容師だと分かるエピソードが出てくる。本の周りに縁のようなものを感じたのも、面白かった。
さっくり読みやすく、ラストを短歌で締めるエピソードもあった。三度目まして、で恋に落ちたエピソードの短歌が好きでした。
とても忙しそうなのに、光っているものを溢さないような日々が書かれていて、物事は捉え方ひとつで変わることを思い出させてくれるような本。
数年前の私、落ち込みそうなときに、もしこの本を読んでいたら、少し明るい方向を見つけられたような気がします。
感情が説明的じゃなくて、行動が重ねられているからか、経験がない・親近感がないような出来事なのに想像できる不思議。刺激的なエピソードを淡々と書かれる文章力。こんな文章書きたい~~~、と最近の私の文章に影響が出ています。
読了して、作者のSNSをフォローした。なんと、商業出版したらしい。すごい。自費出版に新規17篇を加えているらしい。でも、この貴重な薄さも大事にしたい。
【ここで唐揚げ弁当を食べないでください】
作 者:小原晩
出版社:自費出版
発行年:2022
▼読書記録