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読書記録「ブラック・ショーマンと覚醒する女たち / 東野圭吾」

東野圭吾の新シリーズ開幕です。
シリーズ『ブラック・ショーマン』!
「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」の続編。
前作は長編でしたが、新作は短編集。

【ブラック・ショーマンと覚醒する女たち】
作 者:東野圭吾
出版社:光文社
発行年:2024年

前作はコロナ禍が始まったばかりの頃に発売されました。
作中の舞台もコロナ禍が始まったばかりで、その執筆スピードにビックリしたことを覚えています。

今作はその続編。コロナ禍が少し落ち着いた頃が舞台になっていて、現実とリンクします。

まず一篇目の「トラップハンド」は20ページ弱で心をつかんでくる。
正直、前作ってどんな感じだったっけ……と、不安だったけど、これを読んで安心した。前作を詳細に覚えていなくても楽しめる短編集であることを教えてくれました。

謎に包まれたバー『トラップハンド』のマスターは元マジシャン。
姪が持ってくる謎を、マジックによって解き明かしていく。

普段はコインの表だけしか見えていないけど、別の視点からコインの裏を見るようなまさにマジックのような物語。

「トラップハンド」「リノベの女」「マボロシの女」「相続人を宿す女」に加えて「続・リノベの女」と「査定する女」の6作。

「続・リノベの女」と「査定する女」は書き下ろしらしい。
他の短編を雑誌で楽しんでいた人には嬉しいサプライズ〜

「相続人を宿す女」がお気に入り。そうくるのか〜と1番想像がつかない展開。実は、他は伏線などが他の話に繋がるのですが、これは短編としてまとまっています。

「続・リノベの女」はそれぞれのハッピーエンドを得るためには誰かの妥協が入っていることを突きつけられる。

「査定する女」は、まさにタイトルに含まれる"覚醒"な一編。細かい伏線が張られてたんだな〜……
ミステリー短編集らしいニクい演出が堪らん。他の短編で少し残ったモヤモヤがスッと消化されました。

ボリューム感もあっさりでサクッと読めました。前作より好きです。


▽「マスカレード・ゲーム」

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