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心の免疫力

ジョナサン・ハイトという有名な心理学者は
自身の著書で以下のように指摘しています。

“現在のアメリカの学生は
過剰に保護されて育っているため、
“心の免疫力”が低く弱体化している“

周囲の大人が子供の心を傷つけまいとした結果、
不安症やうつ病患者と同じような
考え方をする若者を生んでいるのだといいます。
そして実際、現在のアメリカの10代の子供たちの
うつ病の罹患率や自殺率が顕著に高まっているのだそうです。

しかしジョナサン・ハイトは
「子供たちはアンチ・フラジャイルな存在だ」
といいます。

「フラジャイル」とは「脆弱」という意味。
そして「アンチ」は「反対」という意味です。

「子供はアンチフラジャイル」というのは、
子供たちは痛みやネガティブな経験から
学び、そして成長していく存在である
ということになります。

そうした「痛み」や「ネガティブな経験」を
必要以上に取り除いてしまう傾向が
現在の教育や親の子育てにみられると
ジョナサン・ハイト指摘しています。

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死なない程度の困難は人を強くする

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ドイツの哲学者であるニーチェは
「死なない程度の困難は人を強くする」
という言葉を残しています。

少し極端かもしれませんが、
人間は多少の痛みや苦境、苦難の中から
生きていくための力や学びを
得るという意味です。

子供達の成長も同様だと思います。
多少のネガティブな経験や友達との揉め事、
子供ならではの悩みも多くあります。

そうしたネガティブな経験は、
より大きな事態に発展することも少なくなりません。

そのため、今の教育や社会はそうした「摩擦」を
どんどん取り除いていく傾向にあるように思います。

そうした流れはある程度の安全性が担保される反面、
子供たちの学びの機会を排除する危険性があります。

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「強くなる」ためではなく
「自分の弱さを知る」ために

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私は父が道場長を務める空手の道場で子供たちに空手を教えています。

子供たち、そして保護者の方々に
空手を習う意味をお話しする際、

「強くなる」ためではなく
「自分の弱さを知る」ため。

とお伝えしています。

なぜなら、
「自分の弱さを知る」ことで
人に優しくなれるからです。

そして自分の弱さを克服したその先に
本当の強さがあるからです。

自分の弱さを直視せずに得た
「強さ」は人を傷つけます。

自分を傲慢にさせます。
それは真の意味での強さではありません。

試合で負けて悔しい思いをし、
自分の弱さを突きつけられ、
何度も悔し涙を流します。

そのプロセスがあるからこそ、
人としての成長を遂げることが
できると思っています。

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大人の役割

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とは言っても
「苦しいこと、辛いことを
ガンガンやらせろ!」
と言っているわけではありません。

子供たちが「痛み」や「ネガティブな経験」に
直面した時にどんな言葉をかけてあげるか、
どんな解釈を促してあげるか、
そういった視点がとても大事だと思うのです。

私は仕事柄、数多くの保護者の方と出会いますが、
上記のような視点を持っている
保護者の方のお子さんはとても伸びると感じています。

子供が直面した問題に対して
学校の先生のせいにする、環境のせいにする
子供のせいにするのではなく、
出来事に対してプラスになるような
解釈を促してあげる。

これがとても大切だと思います。

フリースクールの教員時代、
学園長に言われた言葉を
今でも大切にしています。

“教師の成長率以上に
子供は成長しない。

親が成長率以上に
子供は成長しない。

周りの大人が成長しなければ
子供は成長しない。”

最後までお読みいただきありがとうございました!

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