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【詩】真似ねば得られず



他人より秀でたものはない
それを受け入れるのは怖かった


全人類を数値化して
足してその数で割ることができたなら


僕個人はどの辺りだろう?


強さ
賢さ
かっこよさ
面白さ
豊かさ


どれをとっても目を見張りはしない
自分に足りていないものは知れている


他人より秀でたものはない
それを受け入れるのは怖かった


弱さ
辛さ
みじめさ
暗さ
貧しさ


どれもが僕の中で際立っている
どうにかしたいと思案する


憧れたものになろうと思う
なりたいものがあるけれど
目指したものは目指した分だけ遠ざかる


なりたいものになれはしない
ただ、なりたいものに似た何かになる
憧れがある
そして模倣する
それに近づきたい
けれど同じものになれはしない
同じものに似た何かになる
同じものはきっと、再び生まれることはない
似た何かは
手放さなければ別の道を行く
自分だけの何かになる
模倣からはじまり
似ても似つかぬ形をとる


ひたむきさ
真面目さ
優しさ


それくらいなら持ってなくはないし
これから身につけていけるだろう


強さとはなんだろう
賢さとは一概ではないだろう
かっこよさは何も見た目だけではないだろう
面白さとは事実ではなくて主観によるものだろう
豊かさには主観と客観に大きな差異があるだろう


全人類を数値化して
足してその数で割ることができたとしても
その数値に信頼性はないかもしれない


そんな物差しは異常なまでの偏見だ


憧れたものはひたむきだった
必要なものは真面目さだった
持っていたのは優しさだった


同じものにはなれないけれど
模倣して近づいて
似た何かになって
手放さずに別の形をとって
自分だけの道を行く
似た人はいるだろう
僕以外に僕はいなくて
僕はこれから僕を越えていく


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