128番?
24歳。
社会人2年目。仙台。
私はなぜここにいるのだろうかという問いと
何者かになりたいという気持ちに翻弄され
今日も一日が過ぎる
「よお、元気」
懐かしさよりも先に、なーんだというがっかり感。
電話の向こうは淳だった。
淳とはインターンで知り合った。
ムードメーカーで、頭のきれる淳は
同年代からはもちろん、先輩からも人気だった。
人と群れる事が苦手な私は
大勢の飲み会もうまーくかわしていた。
ある同期飲みの日。
いつものように一次会を終え、二次会の波からそぉーっと帰ろうとした時、
「おい!稀有も!」
ぎくっとなる私をよそに腕を引っ張ってカラオケへ連れて行かれた。
Yoasobiやらヨルシカやら
どこかで聞いた事のある曲がどんどんと入れられる。
ああ。。きつい。。
128番の部屋を出て、
受付へ行く外階段で休憩。
もうすぐ夏が来るのかぁ。
やっと鎖骨まで伸びた黒い髪が
もわぁっとした風でなびく。
「あぁ˜ ˜見つけた!!!」
またこいつか。。
「お前さぁ、なんですぐどっかいくの。」
相当酔っているようだ。
「俺さ、もっとお前と仲良くなりたい
ってぇ、、、
稀有ってかわいいなぁあ」
めんどくさい。。
こーゆうやつは大体顔で、
次から次へと目移りするタイプ。
「あー!ここにいたー!」
見つかった。。
結局その日は全然飲まず、
だけど寝れるわけでもなく、
次から次へと流れる音楽を聴きながら
ぼーっとしていた。
そんな事を考えながらぼーっとしていると
「‥聞いてる?」
淳の声で我に返る。
同期は全員で10人。
淳はこの春から関西勤務になり、
仙台支店を離れた。
2年目になるタイミングで3人辞めて、
異動が2人、今仙台支店は5人の同期がいる。
「‥の?」
ん?聞き逃してしまった。
「彼氏いるの?」
(ああ、なんだ。)
いないよ。
「そっか!今度さ、
仙台行こうと思って!
飯いこーよ!」
テキトーに返事をして電話を切る。
トゥルルルル〜♪
42℃に設定したお風呂
さっ、明日も仕事かぁ。