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【雑感】花を女の子と思う... /言葉に込められる情感

 昔のレコードを探していたら、童謡のような歌謡曲を聴く機会があった。素直な可愛い曲。
 ふと思ったことがある。
 山道で野花を見つけて、その花を摘む。部屋に持ち帰り、毎日眺める。
 いったい誰が摘むのだろう。
 小さな男の子か、小さな女の子か。それとも、お父さんとかお母さんとか… あるいは、中年のおじさん、おばさん… もしかしたら、高齢のおじいさん、おばあさん…
 摘まれる花だって、男の子なのかな…  女の子なのかな… 
 感性によって、いろいろな組み合わせでいろいろな物語ができると思う。でも、感受性は無制限でないような気がする。

『花と小父さん』
  昭和42年(1967年)
 作詞:浜口庫之助
 作曲:浜口庫之助
 編曲:前田憲男
 歌:伊東きよ子

 小さい花に くちづけをしたら
 小さい声で 僕に言ったよ
 小父さん あなたは優しい人ね
 私を摘んで お家(うち)につれてって
 私はあなたの お部屋の中で
 一生懸命咲いて 慰めてあげるわ
 どうせ短い 私の命
 小父さん見てて 終るまで
 
 可愛い花を 僕は摘んで
 部屋の机に 飾っておいた
 毎日僕は 急いで家(うち)に
 帰って花と お話をした
 小さいままで 可愛いままで
 或る朝花は 散っていったよ
 約束通り 僕は見ていた
 花の生命(いのち)の 終るまで
 
 約束通り 僕は見ていた
 花の生命(いのち)の 終るまで

 この曲、最初は、「ハナ肇とクレージキャッツ」の一員として売り出した植木等(1927-2007)というタレントのおじさん… が、当時ヒットしていた冗談ばかりの歌だけでなく、このような歌だって歌えるのだと世に出されたものだった。
 伊東きよ子(1947-)という女の子の歌でヒットした。歌の上手下手、声の良し悪しに関係なく、要(かなめ)は、「女の子」の花を「おじさん」が摘む歌を歌ったのが「女の子」だったというところなのかな、って思う。

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