理生(りしゃう)

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理生(りしゃう)

Image: Just my impression on the web, not my own. いにしへより「ことのはにことだまやどる」と霊の力により言葉の表はしたるものぞ成すと云はるる。久しく科学技術に生きし者なれど千年経しも千年先も飛び交ふものにかかづらひ追ひ求めはべり。

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  • 【古文】『源氏物語』『紫式部日記』/辞書引きながら

    英文学を読むなら英語で、ロシア文学を読むならロシア語で、『源氏物語』を読むなら古文で。外国語ならば、翻訳者に委ねるのも仕方なしとしても、せめて日本の古語なら、現代の作家が自己の世界観にて口語訳した物語でなく、本来の作者の観点が解るように古文に挑戦いたしました。 『源氏物語』は、少しでも作者の紫式部に添えば、単に恋愛小説とか、主人公の光源氏が単に好色家とかいう見方はしなくなることでございましょう。 原文ではなく残された写本とはいえ、古文なればこそ翻訳では得られぬ作者の「書く」心情を拾えるところに価値を見出すことができるというものでございます。 ここに挙げたものは、読みながら内容を忘れぬように記した覚え書き(あらすじではございませぬ)でございます。  ※ヘッダー画像は紫式部図(土佐光起筆、石山寺)として伝わる女人画像でインターネット上からの拾いものでございます。

  • 【随想】あれこれ考えつつも、まず書いてみようかな、と

    いのちなる 旅するなれば ひとの道 消ゆる知りても こころとは あとに残らむ ことだまの おさなきものの すなほなる 泣きていふやう ことのは響かむ

  • 【歌詞】愛とか恋とか/外国語和訳

    生きていれば人はどこかで愛とか恋とか経験するのでございましょうか、戦争映画、西部劇の主題歌ですら恋の歌でございますから。異性を慕う気持ちは、表現の仕方は異なっていても、時代も洋の東西も問わず、変わらないもののようでございます。

  • 【和歌】『源氏物語』/ 現代口語訳 全795首

    『源氏物語』で詠われた和歌全795首を古語辞書、注釈書の力を借りながら現代口語訳したものでございます。参考に載せている英訳は、アメリカの日本文学者エドワード・サイデンステッカー氏によるものをウェブより転用しております。

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【随想】「ことだま」/信じなくとも言葉を使えますけれど

 最近、新聞、雑誌の記事、連絡メールを読んでいて思うことがございます。  情報を必要とする人に必要な情報として伝えるためには、「5W1H」(いつ、どこで、だれが、何を、どうしたのか、それはなぜか)という基本を踏まえることが重要とされているのにもかかわらず、この基本を知らないのか、全く忘れてしまったのか、基本を踏まえたものが異常なくらい少ないのでございます。  これは発信する側の問題なのですけれども、もっと気になるのは、受信する側に問題があるということでございます。  S

    • 【和歌】紫式部/『紫式部日記』登場の歌人(4/4)

      紫式部  生年は天録元年(970年)から天元元年(978年)まで幾つかあり、没年も長和3年(1014年)から長元4年(1031年)まで幾つか。40年から60年の生涯と推測される  父は漢学者の藤原為時、母は「藤原為信女」(藤荒為信の娘)、弟に藤原惟規、早くに母、姉を亡くし、夫の藤原宣孝とも娘賢子を儲けた後二年して夫と死別  『紫式部集』  成立年時未詳(西暦1019年頃か)  伝本により一部の歌(数首)が異なるが、120首  人生前半は人生に肯定感が強く明るい作品が多く、後

      • 【和歌】清少納言/『紫式部日記』登場の歌人(3/4)

        清少納言(康保3年〈966年〉頃~- 万寿2年〈1025年〉頃)  父は清原元輔、『万葉集』の読解と『後撰和歌集』の選者を務めた歌人、曽祖父(または祖父)は『古今和歌集』の代表的歌人である清原深養父、夫は藤原斉信の家司橘則光、子は橘則長、後に摂津守藤原棟世と再婚、娘は小馬命婦  正暦4年(993年)冬頃から長保2年(1000年)まで一条帝の中宮藤原定子に仕え、中宮定子の死後(長保3年(1001年)頃)『枕草子』を書き上げる。 『清少納言集』  日常生活を描写した即興的な歌が

        • 【和歌】赤染衛門/『紫式部日記』登場の歌人(2/4)

          赤染衛門(天暦10年(956年)頃~- 長久2年(1041年)以後)  大隅守赤染時用の娘とされる。夫は文章博士大江匡衡、子は、少なくも2子女(大江挙周と江侍従)、源雅信邸に出仕、藤原道長の北の方源倫子、その娘の藤原彰子に仕えて、「匡衡衛門」<紫式部日記>とも呼ばれていたようで、紫式部、和泉式部、清少納言、伊勢大輔と親交あり、良妻賢母と伝えられる。 <『日本古典文学大辞典』(岩波書店)> 『赤染衛門集』  成立年時未詳(西暦1041年以後、1044~1053年の間)  『古

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        【随想】「ことだま」/信じなくとも言葉を使えますけれど

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        • 【古文】『源氏物語』『紫式部日記』/辞書引きながら
          63本
        • 【随想】あれこれ考えつつも、まず書いてみようかな、と
          14本
        • 【歌詞】愛とか恋とか/外国語和訳
          25本
        • 【和歌】『源氏物語』/ 現代口語訳 全795首
          55本
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          【和歌】和泉式部/『紫式部日記』登場の歌人(1/4)

          和泉式部(天元元年(978年)頃 ~ 没年不詳)  越前守大江雅致と越中守平保衡の娘との子、姉妹複数<近藤みゆき『王朝和歌研究の方法』(笠間書院)> 夫は和泉守橘道貞、娘は小式部内侍  冷泉帝の皇子為尊親王と親交があり、その死後、弟の敦道親王と親交(二人の間に子石蔵宮永覚)、その後夫との関係は不明、寛弘の末(1008年 -~1011年頃)、一条帝の中宮藤原彰子に出仕、藤原道長の家司藤原保昌と再婚、万寿2年(1025年)に娘小式部内侍が病死した際の和歌、万寿4年(1027年)に

          【和歌】和泉式部/『紫式部日記』登場の歌人(1/4)

          【古文】他人(ひと)を評するは己(おのれ)を評す/『紫式部日記』を読んで

           『紫式部日記』には和泉式部、赤染衛門、清少納言の三人について歌人として評価している箇所(二節)がございますね。  あの人のあそこが良いの悪いのと「他人(ひと)を評することは、その実、己を評すること」なのでございます。平安時代にこのような考え方があったのか否かは定かではございませぬけれども、さて、思慮深き紫式部女史はどうであったのでございましょうか。  他人(ひと)に対して、かなり高飛車な言い様でございますけれども、最後に自身のことに触れてございます。やはり、他人(ひと)こ

          【古文】他人(ひと)を評するは己(おのれ)を評す/『紫式部日記』を読んで

          【古文】古文だからこそ分かること/『紫式部日記』を読んで

           これは、『紫式部日記』が如何なる本なのかという全体像を紹介するものでございます。  『源氏物語』は、光源氏を中心にした物語が展開いたしますけれども、光源氏が死んだ後も子や孫たちの物語として続いて参ります。光源氏の何か意志を継ぐとかの生き方が語られるのかと申しますと、そうでもございませぬ。人として同じ情欲に囚われ、同じ葛藤を懲りることなく繰り返していくのでございます。人物が誰であるかの性格は勿論重要ですけれども、物語の後半になるに従い、個人の物語よりも「時の流れ」の中で「人

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          【科学】始まりの元素/水素エネルギー社会へ

           文明が自然との均衡を保つべきところ、自然の自浄作用を超えて文明側に偏り過ぎたために地球温暖化、極小の樹脂(プラスティック)による海洋汚染などの環境問題が生じています。  その均衡を保つために、森林、海洋保護、生態系の回復、樹脂材の回収資源化、代替エネルギーなどの研究が進められています。50年前から始められている水素エネルギーの開発もその一つです。それについて少しだけ(といっても5000字以上になりましたが)掘り起こしておきたいと思います。 §1 求められるものは環境に負担

          【科学】始まりの元素/水素エネルギー社会へ

          【随想】猛暑なり 嘆くのみにぞ 進歩なき /水素エネルギー社会へ

            命に危険のある猛暑が続く。夏の平均気温は年々高くなり、今年も平年比で1.76℃高く、1898年統計開始以降最高に<気象庁>。原因は地球規模の温暖化に因る気候変動とされる。   毎年7月になると、アントニオ グテーレス国連事務総長がその危機感を世界の指導者に訴えている。今年も、「分断された世界を結び付けるものが一つあるとすれば、われわれ全員がますます暑さを感じているということだ。地球は一層暑くなり、あらゆる場所が危険になっている」と。<2024.07.26 NHKニュース>

          【随想】猛暑なり 嘆くのみにぞ 進歩なき /水素エネルギー社会へ

          【随想】共生?多様性?/辞書の意味するところ

           社会のあり方として、以前は「共生」という言葉が使われていた。最近では「多様性」という言葉が使われる。たぶん同じ意味で。  しかし、どういう社会を目指すのかが議論されないため、意味が曖昧で無責任な言葉になっている。  辞書に言う、文字通りの意味は、(1)集団の中に異なる特徴、特性のあるものが一緒に存在する状態のことを「多様性」と呼び、(2)損得する関係がある場合、損得は入れ換わることも目に見えないこともあるので、損得を考えず、複数の種類の生物が相互に関係を持ちつつ同じ地域で生

          【随想】共生?多様性?/辞書の意味するところ

          【歴史】想像を超える箸/あまりに簡素であまりに便利 <後編>

          日本の箸の歴史  さて、中国の箸がどのようにして日本へ渡ったのでしょうか、実は、これも明確なことは分かっていません。  まず、古代日本の遺跡から出土品を探ります。  縄文時代以前の旧石器時代(紀元前2万9000~1万4000年)の幾つもの遺跡から、イノシシ、シカ、ノウサギなどの肉類、マツ、ハシバミの実、コケモモ、ヤマノイモなど出土、また、藤久保東(ふじくぼひがし)遺跡(埼玉県三芳町)から焼かれた石が出土 <三芳町『広報みよし』1991年6月号>、これは土器がなくても調理で

          【歴史】想像を超える箸/あまりに簡素であまりに便利 <後編>

          【歴史】想像を超える箸/あまりに簡素であまりに便利 <前編>

          ※いろいろ資料を集めましたら、あれもこれも使いたくなりまして、全文が20000字を超えてしまいました。思い切って削除しても13000字となりました。前後二編(「中国の箸の歴史」と「日本の箸の歴史」)に分けて掲載することにいたします。 はじめに  訳の分からぬ外国人観光客が多数遣って参ります時代になりました。  もうかなり前のことになりますけれども、平成26年(西歴2014年)、和食が UNESCO(国際連合教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されたかとで一時話題となりま

          【歴史】想像を超える箸/あまりに簡素であまりに便利 <前編>

          【随想】戦争は国民がする/NHKスペシャル<戦争特集>を観て思うこと

           NHKは、毎年この時期になると大東亜戦争を題材にしたドラマ、ドキュメンタリーを放送いたしますね。  発掘された資料、生き残った人物への取材、必要な数値データを抽出しての解析、それを基に作られた番組は、残念ながら民間の放送局では作れないものでございましょう。    アーカイブにて戦争に関する5編の「NHKスペシャル」を観ました。  全編を一言で感想を申し上げれば、大東亜戦争とは、冷静な分析がないがしろにされ一部の指導者の実に曖昧な意思決定で戦争が始められ、何度失敗があってもそ

          【随想】戦争は国民がする/NHKスペシャル<戦争特集>を観て思うこと

          【随想】隠された広島と長崎/NHK『消えた原爆ニュース』を観て思うこと

            広島と長崎に原子爆弾が投下され、その悲惨な現実が日本国内だけでなく世界各国に隠されていたことに触れた番組をアーカイブで観る機会がございました。(令和5年(2023年)08月09日(水)NHK『歴史探偵』「消えた原爆ニュース 報じられなかった広島 長崎」)  毎年この時期になると、NHKがNHKでなければ作れないであろう番組を放送しております。必ずしも主題、構成がしっかり出来ていると言えるものばかりではございませぬが、制作関係者の訴えようとする誠実なる趣旨は十分伝わってまい

          【随想】隠された広島と長崎/NHK『消えた原爆ニュース』を観て思うこと

          【随想】『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』/一冊の本を読んで思うこと

           最近、「戦争反対」を叫ぶことの重要性を否定する訳ではございませぬが、少々虚無的、懐疑的になっております己(おのれ)を感じること多く、それよりほかに方法がないものか、戦争がいかにバカげているかを研究して、為政者こそが戦争に虚無的、懐疑的になる風潮を作り上げる具体的な施策を考えるほうが必要ではないのかな、と思うところがございます。  ということは、民主主義の社会であれば、為政者を選ぶ立場にある有権者にこそ、戦争に抱く肯定論を否定するように仕向ける努力が必要ということになりましょ

          【随想】『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』/一冊の本を読んで思うこと

          【絵本】『もうじきたべられるぼく』を手にして

           「もうじきたべられるぼく」・・・  はじめてこのしょうげきのあるだいめいを目にしたのは、もうかなりまえ、しんぶんの下のほうにある本のこうこくのところでございました。  ちょっとした本のとりよせをたのんで、本やまでうけとりにいって、子どもむけの本のまえをとおったときに、ふとしたことで、どこかで見たことあるような本のだいめいに目がとまりました。  「もうじきたべられるぼく」・・・  たったひとことのだいめいが、ここまでしらないうちにあたまにこびりついたことなど、いままでござい

          【絵本】『もうじきたべられるぼく』を手にして