『源氏物語』(古文)を読んだときの覚え書き_第43帖『紅梅(こうばい)』
第43帖『紅梅(こうばい)』
巻名は、按察使の大納言が娘のために匂の宮へ紅梅の枝に和歌を添えて贈ったことに由来
《和歌》「心ありて 風の匂はす 園の梅に まづ鴬の 訪はずやあるべき」(按察使の大納言)
(そのつもりがあって、風が匂いを吹き送る園の梅に、すぐにも鶯がおとずれなくてよいものでしょうか)
◆薫24歳春◆ 『椎本』の巻の二度目の春に続く『総角』の巻の秋冬の頃
<物語の流れ>
按察使の大納言(紅梅大納言)一家の物語
按察使の大納言(致仕の太政大臣の次男、右衛門督柏木の弟、紅梅大納言)→亡き北の方との間に娘二人、大君と中の君 →大君は既に東宮后、中の君を匂の宮へ画策 →後妻は、螢兵部卿の宮の未亡人真木柱、その子は宮の御方
兵部卿の宮(匂の宮)→宮の御方に興味あり
源中納言・・・薫の中将のこと
<書き出し>
「そのころ、按察使(あぜち)の大納言(だいなごん)と聞こゆるは、故致仕(ちじ)の大臣(おとど)の二郎(にらう)なり。亡(う)せたまひにし右衛門(うゑもん)の督(かみ)のさしつぎよ。童(わらは)よりらうらうじう、はなやかなる心ばへものしたまひし人にて、なりのぼりたまふ年月に添へて、まいていと世にあるかひあり、あらまほしうもてなし、御おぼえいとやむごとなかりける。」
(そのころ、按察使の大納言といわれるのは、故致仕の大臣(元頭の中将)の次男です。亡くなってしまわれた右衛門の督(柏木)の弟君であたられます。子どものころから利発で、人目に付く気の利いたところのあられた方で、昇進なさる年月とともに、以前に増して羽振りがよく、申し分のない暮らしぶりで、帝の御信任も極めて厚いものがありました。)