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「裏を取材」第2弾 <第1章>



|「kapono」誕生の道のりと第一歩

向田(以下、向): 今日は編集企画部部長の赤嶺さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。

赤嶺(以下、赤): はい、よろしくお願いします。

向: 編集企画部といえばなんと言っても「kapono」ですね!

赤: はい、そうですね!

向: 今回、「kapono」が無事に第3弾まで、実質的に発売されましたね。

赤: そうですね。無事に読者の元へお届けすることができました!

向: 感無量ですね。僕自身思い入れのある企画ですから。では、早速なんですが「kapono」を立ち上げたときと、3冊を出せた今の心境についてお伺いしたいです。この間で、何か心境の変化はありましたか?

赤: 心境の変化・・・そうですね、あるとしたら「できるんだな」という気持ちです。

向: ほう、最初はどう思われてたんですか?

赤: 一番最初に始めた頃は「果たして本当に自分にできるのか?」っていう気持ちが強かったですね。全部が初めてのことだったので、予約を受け付けるところからスタートして、もちろんトラブルもありました。

向: そうですよね。トラブルもありましたよね。

赤: はい、いろいろありましたね。ただ、実際に3冊が完成して、「あ、できるんだな」という実感が湧いたんです。

向: なるほど、それは大きいですね。

赤: そうですね。「実現できた!」という意味での心境の変化は確かにありました。

向: まさに、ゼロから取り組みをカタチにしたからこその変化ですね。

赤: はい、そうですね。

向: 「kapono」って基本的に「やりたいことをやっていかないと」という前提がありましたよね。立ち上げる時点で、結構しっかりとした思いがあって、そういう歴史的な意味から考えて誕生したレーベルですよね。

赤:そうですね、そこはブレずにやってこれていると思いますね。

向: うんうん。経営者目線にはなりますけど、正直「kapono」はいきなり創業してゼロイチでやるような取り組みではなかったと思っています。やはり歴史や背景を考慮して積み重ねてきたことを形にする必要があったんですよね。

赤: はい、そうだと思います。

| 商業出版の模索と「理念」に基づく決断

向: ただ、私たちはもともと制作会社というマインドからスタートしているわけですけど、本当の意味で出版、つまり「出版社」としてのマインドを築くためには、私たちなりの商業出版が必要だったんですよね。

赤: はい、なるほど・・・。

向: 実は、これは2年前くらいからの構想として頭にあったんです。その頃、某J社さんという別の出版社の話があって。

赤: ああ、聞いたことあります。

向: その会社タレント本を多く扱っている出版社だったんですよ。

赤:へぇ、そういうタイプの出版社だったんですね。

向: そうなんです。その会社が倒産か買収かされる中で、「この企画を全うしなきゃいけないんだけど、うちではもうできなくなってしまった」という状況で、22世紀アートのほうで買い取ってもらえないか、という話が来たんですよ。

赤: それはまた大きな提案ですね。

向: 一瞬「どうしよう」と思いました。おいしいかも?!とか・・・ね。でもめちゃくちゃ冷静になった時、ハッキリ見えたのは「うちの理念とは全然違うな」ってことだったんです。さらに、商業出版の市場自体がどんどん厳しくなっていっている中で、わざわざそこに飛び込む必要があるのか、と。

赤: 確かに、そうですね。売れるかもしれなくたって理念には当てはまらない考え方になってしまいますよね。

向: そう。だから結局、その提案はお断りしたんですけど、断ったことによって、逆に「22世紀アートの商業出版って何なんだろう?」という疑問が生まれたんです。

赤: 断ったことで新たな気づきがあった、ということですね。

向: そうなんです。タレント本って、他の会社からすると派手で、すぐにでも飛びつきたいような案件だったと思うんです。でも、それを断ってまで「自分たちが本当にやりたいことって何だろう?」と模索する中で、赤嶺さんが経営企画部に入ってきてくれて、いろいろ話をしましたよね。

赤: はい、そうでしたね。

向: その話を通じて、少しずつ自分たちがやるべき方向性が見えてきたんです。それがまさに、22世紀アートとしての商業出版の形なんじゃないか、というところに行き着いたんですよね。

|「リアルな言葉」を届けるための理念と選択

向: SNSやnoteみたいなプラットフォームを見ていると、現代の人たちって「今、生きている人たちの言葉」をすごく欲しがっているんだなと感じるんですよね。

赤: 確かに、リアルな言葉に触れたいという欲求は感じますよね。誰かの視点がそのまま残るのが、あの形の良さなんですよね。

向: そうそう。それがプロの作家さんの言葉とかではなくて、普通の人のリアルな言葉を求めている感じがあるんです。

赤:確かにそういう傾向ってあると思いますね。

向:それらが単に流れてしまうものではなく、ちゃんとパッケージされた読み物になっていたら、「これってすごく良いものになるんじゃないか」と思ったんです。確か、そういったところから話が始まりましたよね。

赤: ええ、そうでしたね。

向: それを考えているときに、最初はクラウドファンディングの形が可能性として見えてきたんです。

赤: そうでしたね。

向: 正直、当時は「クラファンが22世紀アートの商業出版の形になり得るんじゃないか」って考えていました。僕の中では、クラファン自体を事業のように捉えていて、プラットフォーム的な発想が強かったんです。

赤: そうでしたね。その時点では、確かに「クラファン」という枠組み自体がメインテーマに見えていました。

向: ただ、僕自身も模索している時期で、そこで特に良かったのが赤嶺さんの存在でした。赤嶺さんが経営企画部に入ってきて、「やるならちゃんとコンセプトを持ってやらないと」って話をしてくれたんですよね。

赤: はい、これは何か違うぞ・・・?!という思いがありました。

向: うん、でも、そのお陰で単に売れるかどうかではなく、「この人たちと本当にやりたいかどうか」を基準にして仕分けをしていく、という考え方に到達できたんだよね。めちゃくちゃ響いたんです。

赤: なんだか恐縮です。

向: 赤嶺さんに後押しされて、「クラファンを事業としてではなく、僕らの商業出版として本当にやりたい作家さんだけを選ぼう」と決めました。結果的に、「みえるさん」「しほさん」「とある家族さん」という3名に絞って、他の候補者の方には申し訳なかったけど、お断りすることにしたんです。

赤: そうでしたね。確かにそのときは、「利益優先ではなく、価値あるコンテンツを」というのがしっかり決まった瞬間でした。

向: そうです。「曖昧な人はやらない」「本当にこちらが思いを注げる人をやる」という方針にしました。あわよくば利益が出れば、みたいな感覚でやるとどうしてもブレてしまうので。

赤: 利益を追求するだけではなく、理念を軸にすることの重要性を感じましたね。

向: もちろん利益は必要です。でも、それが企業のメイン目的になったら、また以前のような「お金だけを追いかける制作会社」になってしまう。それを避けるための理念事業なんですよ。

赤: そうですよね。「心を持って作る本でなければ意味がない」というのは、22世紀アートらしい方向性ですよね。

向: まさにそうです。この事業は、お金儲けだけが目的じゃないからこそ、作家さんと意思疎通が取れなかったらやる意味が全くなくなってしまうんです。むしろ、そういうふうに思いが強い事業だからこそ、僕たちの信念が試されているとも感じます。

赤: その思いが作家さんと一致して初めて形になるのが、この事業の本質ですよね。

|「ブレない理念」を支えるもの

向:あと忘れちゃいけないって思っていることがあって。

赤:はい、なんでしょうか?

向: この事業って、例えば出版企画部の海野さんだったり、いろんな人が理解してくれているからこそ成り立っているんですよね。ある意味、作家さんのお金を使わせてもらって、この事業を進めているわけですから。

赤: そうですね。だからこそ、理念からブレるような仕事は絶対にできないですよね。それは作家さんにも失礼に当たりますし。

向: そうそう。そこがブレたら、「お前ら何やってるんだ」って話になりますからね。

赤: そうですよね。

向:でも、ここでやっていることがブレなければ、きっと「kapono」だけじゃなく、22世紀アート全体に関わるスタッフや作家さんたちみんなに良い恩恵が行き渡るはず。

赤:そう思いますね。

向: ブレない姿勢でサービスをやり続けるっていうのは大切なことですよね。これまで一緒にやってくれた作家さんたちの思いを引き継いでいるからこそ、「kapono」があるんだなと感じます。

赤: そういう意味では、うちでしか絶対にできないことなんでしょうね。

向: そう!他社では真似できない。だからこそ、本質に立ち返らなければやる意味がないと思うんです。これって22世紀アートにとって、唯一無二の存在を作り上げるために必要な一つのなんだと思いますよ。

赤: まさにそうですね。kaponoの存在意義って22世紀アートにとっても非常に大きいものですよね。

向:言ってみれば22世紀アートを言語化するのに欠かせない存在ですね。

赤:そうですね、そう言っても過言ではない取り組みになっていると思っています。

第2章「作品が語る「kapono」の進化と挑戦」に続く

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