『大菩薩峠』より――《人間のすることに、人間が干渉してはいけない》
「わたしたちが住まうという世界は
愛情の自由を与えることばかりではありません。
有形にも 無形にも
人間のすることに 決して人間が干渉してはならないのですよ
圧迫してはならないのですよ
そこには 服従の卑屈があってはならないように
勝利の快感も あってはならないのです」
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仏教では、物を物として見るのではなく
そこに込められた思い 魂こそが 見つめるべき対象であると
よくいわれる。
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古い小説『大菩薩峠』は 菩薩のように
怒りもなく 笑みもなく そこに漂う風、 そしてむした苔のようだ。
在ること。それだけを感じる。
ふと、子供のころ、漠然とわかっていたことを
思いだしてみてほしい。