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メンチカツの"変身"
先日、近所のスーパーでメンチカツを購入。
2個で240円。「食べたいから」というより、どちらかと言えば興味半分の購入である。このご時世にこの安いお値段、正直期待はしてはいなかった。
しかし、家に帰って改めてメンチカツを確認した際、材料表示がふと目に入った。
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コストを考えて鶏むね肉を使うのはまだわかる。しかし、なぜ豚脂を使うのだろう。こういう原材料表示は重さ分で書かれる、ということを考えると、玉ねぎ以上キャベツ未満に豚脂を使っているというのはただごとではない。世の中「チキンメンチカツ」というのもあるぐらいだし、鶏肉は鶏肉としての役目を全うさせてあげればよい。
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そして味は案の定、鶏にも豚にもなっていない、中途半端な味になっていた。食べられなくはないが、美味しくはない。間違いなく食感は鶏肉なのに、味が中途半端に鶏肉になりきれていない。キャベツは確かに粗みじん切り(3-4mm角)にはなっている…ように見えるが、このメンチは5-6mm角ぐらい…とにかく、粗みじんとしては少々大きい気もする。
一般的にメンチカツと言えばたいてい牛か豚だろう。鶏肉で作ることにどこか引け目を感じ、豚脂を混ぜたのかもしれない。が、それが絶妙なブレーキとなってしまっている。
しかも、そんなメンチカツがもう1個ある。これは困った。もう1個食べたいとは思わない。しかし捨てるわけにもいかないし、かといってもう1食、これをこのまま美味しくなく食べるというのもなんだかシャクだ。一体どうしたものか…。
再び私は材料表示に目をやった。
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鶏肉、玉ねぎ…そう言えばこれ、チキンライスの原料でもある。パン粉、キャベツは通常チキンライスには入れないが、これらのサクサクシャキシャキは味のアクセントになってくれるかもしれない。
しかし、それだけではなんだか心許なさもある…そうだ、ついでにオムライスにしてしまおう。バターと卵の力で、なんとか押し切ることはできないだろうか。
決心した私は、アジャコングにレッグドロップを叩き込むときのブル中野ばりの覚悟を決め(そこまでではない)、フライパンにバターとご飯、そしてメンチカツを叩き込む。メンチカツはヘラを使い、フライパンの中で砕き、いい感じにまざったところでケチャップと塩コショウで味付け。そして別に作った卵で綴じる。
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…盛り付けるときにズリーっとスライドしてしまったが、メンチカツ入チキンライスをオムレツの完成である。こういうとき、オムレツはありがたい。怒りや憎しみ、そして悲しみ、どんなものでも黄色で包みこんでくれるのだから。
そしてケチャップをかけて実食。ものすごく、ではないが、十分に美味しい。あんだけコロモの中では喧嘩し合っていた鶏肉と豚脂が袂を分かち、オムライスという体制の中で鶏肉・玉ねぎは本来の役目を果たし、豚脂はおそらく裏方に回り、料理にコクを与えてくれている。パン粉のコロモ、そしてキャベツの食感も悪くない。
強いて言うなら味に変化がない。もしここにピーマンやグリーンピース、人参を入れれば味も変わる…のだろうけど、たぶんやらない。そういう準備をするのなら、普通にオムライスを作ってしまったほうがいいのだろう。キャベツも具に使える、コロモがチキンライスに合うと気付いたのは発見だが、カロリーの問題も考えなければならない。
メンチカツ入りオムライス、まさに一期一会の、アレンジレシピだったかもしれない。
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