APSフィルムの悲しき人生 - 期限切れAPSフィルムで撮り歩く。
APSフィルムとは、かつて35mmフィルムに成り代わるため登場し、その革新的な能力とカメラメーカーの全力の売り出しっぷりにより一瞬の輝きを見せるも、フィルムをもろとも破滅させる絶対王者デジタルカメラの普及により、その後一瞬で終焉を迎えた悲しきフィルム。
1996年の登場からわずか8年後の2002年には、開発を行い自信満々に発表していた「親」である、コダックやニコン、コニカミノルタに早々に見放され、その後少しずつ弱体化し、ついに2012年に富士フィルムに見放され、すべてのフィルム販売が終了してしまった。
なぜそんなことになってしまったのか。まずはデジタルカメラ普及期に完全に重なってしまったこと。いくら革新的な能力を持つフィルムでも、デジタルに勝てないことは今になってみれば明白だと言える。
また、フィルムの値段が35mmより高い、DPE店が全然APSフィルムに対応しないという問題もあったうえ、カメラを小型にできるというメリットも、35mmフィルムカメラの小型化が進むことでAPS特有のメリットではなくなっていた。
さて、今日はFujifilm nexia 270 ixz というフィルムカメラを使って、スナップしていく。場所は大阪の中津・十三と、兵庫の湊川である。
最後の製造から、もう11年が経つAPSフィルム。すでに期限切れ個体しか入手できないわけだが、それでもいまだに売ってくれているお店がある。保存状態がよければ、この記事での写真のようにまだ十分に写る。
フィルムは Agfa APS Star 200 というもの。アグファのカラーネガ自体がもう作られていないから、アグファの色 (?) を体験してみたいなら、APSで体験してみるのも一興か。
この明暗差のすごいシーンで、nexiaのカメラは、暗部に足を取られることなく私の撮りたい空模様を的確な露出でとらえてくれている。露出が完全オートのカメラはあんまり信頼していなかったので、このカットも失敗しているんだろうと思っていたから驚きである。
こういう、個人の電気屋さんには入ったことはないし利用することが今後あるともあまり思わないのだが、どのお店も外観はとってもカメラで撮りたくなるものだ。そしてフィルムとの相性がいい。
APSフィルムの購入は、もはやチャンプカメラぐらいしか信頼できる道はない。あの店は、期限切れの在庫がまだ多くあるようだから、急いで手に入れてはいかがか。現像ならあのキタムラでも外注処理で受け付けているのだが…。
110フィルムという、APSフィルムと同じく一度終焉を迎えたフィルムを、Lomographyというフィルムメーカーは復活させ、販売を始めた。同じようにAPSフィルムも、Lomographyが復活させてくれないかと私は願うわけである。110フィルムよりも使えるカメラの数は多いんではないか。ぜひ復活をしてくれないか。