ちょっとした雪でドバイへの飛行機が大幅遅延した話
1月末。一年で1番雪の降る時期。
東京でも年に1度くらいは雪が降るが、まあだいたいこのくらいの時期である。
私たちは22時発のドバイへに向かう飛行機に乗り込んだ。まさにそのシーズンで、外の雨は雪に変わりつつあった。なんて事のない、普通の雪だった。
初めてのエミレーツ航空。席が広い。窓がオシャレ。機体がデカい。画面もデカい。映画いっぱい。きれい。
すでに大興奮だった。
ドバイについてもいないのに、すでにキャッキャと騒がしい私たち。
そんな私たちに反して、飛行機は出発時間になっても、出発時間を30分過ぎてもびくとも動かなかった。
滑走路を走る気すらない。機内にいるだけでも幸せだった私たちだが、おかしいとそろそろ気づき始めた。
機内アナウンスが流れ、
どうやら外の雪が機体に積もって危険な為、除雪してから飛ぶとのこと。
窓から見えるのは、飛行機の翼部分にシャワーのような機械で水をかけ続けている光景と、他の飛行機が離陸していく光景。
しかし何十分経っても飛行機が動き出す様子はない。
機体の右部分の除雪をしている間に左側に雪が積もり、それじゃあと左側の除雪を始めると右側に積もる、ということの繰り返しだとのこと。アホである。
客だから言えることだが、本当に飛べないの?
じゃあロシアとか北海道は飛行機飛べないの?飛べるよね?という疑問しか浮かばない。
今すぐ飛んじゃおうよ!ねえ!みんな!!!という気持ちだ。
そして最悪の結末が待っていた。
成田空港の門限が23時だから今日は飛べない、というのだ。
そう決まってからもすぐ客を機内から出すわけにもいかず、私たちはそのまま機内に閉じ込められた。
寝て、映画を一本見終わって、2本目に差し掛かっても降ろしてもらえなかった。
そのうち機内がざわつき始め、良い匂いがしてきた。
もったいないしお詫びに機内食配るね〜!とのこと。
能天気な私たちは大喜びで食べた。
味が濃い。空を飛んでいる時は、味覚が鈍るかららしい。新しい知識を得た。
そしてさすがのエミレーツの機内食は美味い。
機内食を食べながらも、出発延期が決まってから気になっていたことがあった。
それは、前の席の女性があまりにも落ち着きがないことだ。
これだけ大きな飛行機なのだから、急な用事でドバイに行く人も乗っているだろう。
なんて他人事に思っていたが少し調べればわかることだった。
明日、日本vsカタールのサッカーの試合がアブダビで行われるのだ。
この機体に乗っている人たちの多くはその試合目当てで乗っていた。よく見たら結構みなさんユニフォーム着てますね。
すなわちこの便が遅れれば、試合が見れないからアラブに行く必要など無い。
ただの旅行の私たちとは訳が違う。
前の席の女性がまさしくそれで、泣きながら客室乗務員に何時に出発するのか、新しい飛行機のチケットは取れるのかと尋ねている。
そんなことは客室乗務員にだってわかりっこない。
とりあえず理由が門限な時点で、明日6時以降にしか飛ばない。おそらくアウトだ。
すぐ他人のアカウントを見つけられるタイプのNは、あるTwitterアカウントを見ながら
「みて、このツイート…
だって…。絶対前の女の人だよ…」
当たり前だ。試合観戦を生きがいにしていただろう人がこの程度の雪で試合を見れなくなったのだ。そんな時のご飯なんてなにを食べても不味いに決まってる。
美味い美味いとムシャムシャ機内食を食べていた私たちはすぐさま黙った。
結局飛行機を降りたのは夜中の3時ごろだった。
国内にいるのに何故時差ぼけしなきゃいけないんだ。バージュカリファに登るはずだった私たちの予定は崩れたが、騒いでもしょうがないので文句ももう言わない。
結果予定のフライト時刻の20時間後に振替便が飛ぶこととなり、夜の18時に発つまでの間成田で過ごすことになった。
その後エミレーツからのアナウンスでは、
「成田近郊のホテルの空き部屋を取ったけど、全員分の部屋は無いから泊まらなくてもいいよって言ってくれる人には成田空港で使える1万円分と5千円分のお食事券と、後日1万円振り込むよ〜」とのこと。
お食事券を選んだ私たちは、朝の6時から空港のロビーのベンチで横になって寝た。
今まで生きてきた中で1番寝れなかった。(寒さと騒音と防犯面が怖くて。)
そして起き上がる。外見る。
ムカつくほど天気がいい。
お腹を空かせた私たちは朝から1万円分のお食事券を使って寿司を食べ、
カフェで5000円分のドリンクとスナックを購入した。快適だと言いながら、ハッピーに過ごした。エミレーツさん、ありがとう。
その後は順調。
ドバイに着くとホテルのフロントマンが大変だったね〜と気遣ってくれ、バージュカリファが見えるお部屋にしといたよ!と言ってくれた。
(部屋からの景色)
登りたかった…キィーー!!
となったものの、またドバイに行く理由が出来た。
次こそはバージュカリファに登ろうね。
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