「鬱かもね」
パワハラが原因で新卒で入った会社を1年ちょっとで辞め、すぐにお金を稼いで親を安心させたい一心で入った新しい会社でもパワハラをされ、自分は何をしてもダメなんじゃないかと感じてしまう日々を過ごしている。
少しでもミスをすると、
「こんなのも出来ないとか、前の職場でほんとに保育士してたの?笑」
「ほんと何も出来ないんだね~役立たずじゃん」
そんな事を言われる。最近はついに
「保育士、辞めちゃえば?」
そう言われた。
自分が何のために働いて、生きているのか分からなくなった。もうしないと決めていた自粛行為をしてしまった。痛かった、死ぬほど痛かった。もっと深く切ればこの世から消えることが出来る。でも、そんな事をする勇気はまだ私にはなかった。結局中途半端に腕に傷をつけて終わった。人生を終わらせる勇気もないくせに中途半端にやる自分が悔しくて涙が止まらなかった。
新しい会社に入社して1ヶ月くらい経った頃、体に異常が出た。胸が苦しくなったり、呼吸が上手くできず過呼吸になったり、意識が無くなることが多くなった。夜だけ出ていた症状が、気づけば朝も出ていて、仕事に行けない日が増えていった。仕事に行きたい気持ちがあるのに、発作のせいで行けなくて悔しくて仕方なかった。色んな病院で検査をしてもらったが、結果はどこも同じで、
「特に心臓には異常は見られませんね。とりあえず様子見でいいと思いますよ。」
それだけだった。こんなに体に症状が出ているのに異常ないなんておかしい。なんで、なんで?
そんな事を何度も思い泣いた。
大きな病院に行って検査をしようと思い、大きな病院へ行った。そこでも結果は異常なし。ここも同じか。そんな事を思っていた。診察をしていると、先生が私の左腕を指さし、
「それ、大丈夫?結構痕ついてるけど」
そう聞いてきた。
なんて言われるか怖かったが正直に話した。
「前の職場でも、今の職場でもパワハラを受けていて、精神的に辛くて、相談しても、パワハラされる側も悪いとか言われて、もう希望が見えなくて、いなくなりたいけどそんな勇気ないから、結局中途半端に切って終わってしまいました。私にもう少し深く切れる勇気があったら今頃楽になれたんですけどね、」
1人でベラベラと話してしまいハッとして、
「すみません、変なこと言って…」
そう言いながら医者の顔を見ると、
「それは辛かったね、こんなに若いのに、耐えてばかりで大変だったでしょう」
そんな言葉をくれた。優しい言葉をかけられたのは久しぶりで、涙が止まらなかった。
「貴方、多分鬱かもねえ。心臓には異常ないから、きっと心の方に何か問題があるのかもね。」
(鬱、か…)
その言葉だけが心の中で引っかかった。
「貴方は頑張りすぎたんだね、今の環境から離れて心を休ませる事も大事だよ。」
そんな事を言われて診察は終わった。
今まで、現実から逃げていたのかもしれない。心の病気なんかじゃない、心臓自体に問題があるんだと思って、逃げていたのかもしれない。けど、そんな事をしていても人生が良い方向へ進まない。
もう少し、しっかりと自分と向き合って、これからの人生をどうするか決めていきたい。
今と未来の自分の為に。