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#5 これも看護ケアだったんだ!「変化の工夫」が、患者の回復にもたらすもの
【届け!21世紀のナイチンゲールたちへ】
この記事は、2人の現役看護師・奈津美と侑子が、
ナイチンゲールの著書『看護覚え書(Notes on Nursing)』を
元ネタに繰り広げた対談を収録したもの。
『看護覚え書』は、看護師のバイブル的存在。
だけど読破できた人、ほんとは多くないんじゃない?
そもそも読みにくくない?
それなら2人で読んでみよう。
『看護覚え書』にある”看護の原則”は、
現代の看護の現場でどこに散りばめられているのだろう?
2人で探してみよう。
このような動機から、2人で対談企画を始めました。
日々の忙しさ、業務量の多さに疲弊して、
「看護ってなんなんだろう?」
とわからなくなっていませんか?
悩める21世紀のナイチンゲールたちが、
看護を見つめ直すきっかけのひとつとして、
この対談が役に立てれば幸いです。
奈津美、侑子
はじめに
看護の原則が掛かれている『看護覚え書』の中に、
なぜナイチンゲールは、「変化:Variety」という項目を敢えて組み込んだのだろうか。
「変化」とは、看護ケアなのだろうか。
彼女は、「ゆっくりとした変化で、尚且つ輝くような色彩による変化が、病人に回復をもたらす現実的な手段である」と説いている。
忙しい勤務の中で、私たちはどのような「変化」をもたらすことができていただろうか。今回の対談を通して、今までのケアを振り返り、私たちの看護を見つめ直す時間となった。
これを読んでくださったあなたの看護にも、何か変化や気づきが起きれば幸いです。
それでは、対談をご覧ください。
原則1:楽しみの渦に患者さんたちを巻き込みながら、看護師も一緒に変化を味わう
長期にわたってひとつ二つの部屋に閉じ込められ、毎日毎日、同じ壁と同じ天井と同じ周囲の風物とを眺めて暮らすことが、どんなに病人の神経を痛めつけるかは、ほとんど想像もつかないであろう。
ー『看護覚え書ー看護であることと、看護でないことー』現代社より
(侑子)今回で第5回目ということで、「変化のあること」だね。変化。
(奈津美)変化…。
(侑子)今回読んでみて、なっちゃんが印象に残ってて思い出したエピソードってある?
(奈津美)そうだね~。変化…。入院患者さんの変化をもたらすってところで一つ思い出した話があったなぁ。
私が前に勤めていた病院は、窓から富士山とスカイツリーが見えるめっちゃ景色のいいところにあって、朝焼けもきれいだったし夕日もきれいだったし、もちろん晴れている日もきれいだったし、それを患者さんに何とか見せるっていうのが結構日常的に行われてて。
『今日めっちゃ夕日きれいだよー!!』って言って、ベッドの向きを変えて、外が見えるようにしたりとか、リハビリをその時間に合わせたりとか。朝訪室して、『おはようございます!今日、すごいキレイな朝焼けですよ』って言いながら、バイタル測ってベッド動かす、みたいな。
(侑子)へ~~~!
(奈津美)なんか、ちょっと自己満みたいなところも正直あるなぁとは思っていたけど、それって入院している患者さんにとっては、かなり「変化」がついて良いことだったのかもって思い出して…。病棟のスタッフのことを思い出して誇らしくなった。
(侑子)あぁ~、いいね~。
(奈津美)変化をつけるってことを日々のケアとして認識してやってはいなかったけど、ここを読むと、変化をつけることが大事なケアの1つだったんじゃないかなぁと思って。
(侑子)うんうん。無意識で「大事なケア」ってわかってた、みたいなね。
(奈津美)ね~、そうかもしれない。ね~、なんか愛おしくなった。スタッフたちが。
(侑子)私も今思い出したけど、前に勤めていたところは、冬になったら富士山見えてたなぁと思って。
(奈津美)そうなんだぁ!
(侑子)うん、冬になると結構くっきり見えたなぁ。大きいガラス張りの窓やったからキレイでね。私は子どもたちを抱っこして、富士山を見せに連れてったりとかしてたなぁ。自分で移動できひん子は、バギーに乗せていったりとか。お母さんたちが子どもたち連れて、窓辺で富士山眺めているのを横目に見ながら仕事したりとかもあったなぁ。
(奈津美)いいねぇ。
(侑子)花火のときはみんなで花火見たりとか。
(奈津美)あったあった!隅田川の花火とか!
(侑子)そうそうそうそう!!
(奈津美)今日は花火あるから早くご飯終わらせて、みんな窓辺に集まれ!みたいにね。
(侑子)そうそう!今日はまだ寝るな~!ってね(笑)
(奈津美)そうそう!まだ寝ないで~!ってね!(笑)
(侑子)うんうん
(奈津美)なんか残業している看護師さんたちも一緒に見たりとかしてね。私たちも楽しいし、患者さんたちも楽しいだけじゃなくて、それがケアになってたんだなーって思うと、奥深いなぁ看護ケアって、って思う。
(侑子)ほんまやんね~。これもケアの1つって言っていいんやね~。
(奈津美)私たちの”ちょっとした楽しみ”に巻き込む、みたいな感じだけど(笑)
(侑子)ね~。でもそれが癒しというか。やっぱり治療することで疲弊するというか…しんどいこととかもあるだろうけど、そういう心躍るような、みんなで「わ~!!」ってできることがあれば全然違うだろうな~って思う。
(奈津美)そう。みんなでってところでね、ちょうど病棟の泌尿器科の先生が、わざわざ「虹が出てるよ」って病棟に電話してきたことがあって。
(侑子)(笑)
(奈津美)めっちゃ可愛いー!って思った!(笑)それに、先生がそういうこと大切にしてくれてるのも、嬉しかった。それでね、その時先生が教えてくれたから、ちょうどターミナルだった泌尿器科の患者さんに、「先生が『虹が出てるよ』って電話くれましたよ!見に行きますか?」って言ったのね。
完全に残業時間だったんだけど、残業時間だとかそっちのけになるくらい、患者さんに「虹を見せたい」って思ったの。3人がかりくらいで車いすに「よっこいしょ」って移乗させて、虹の見える窓まで行って、みんなで虹を見たっていうのが、スゴイいい思い出になった~。
(侑子)へぇ~。どうやったん?その一緒に虹を見に行った患者さん。
(奈津美)すごい看護師に気使いなところもあったし、虹を見てたときに、すっごい笑ってたとか、すっごい感動してたとか、そんなのは全然なかったんだけれど、『ありがとねぇ』って言ってくれて。
(侑子)そうなんやぁ。
(奈津美)その患者さん、その後亡くなっちゃったし、最期に虹が見れたのは、私たちの心のケアにもなったし。あの虹を見てなかったら、余計に変化のない最期時を過ごしてたんだなぁと思う。身寄りのない人だったんだよね。面会とかもあんまりなかったと思う。
(侑子)めっちゃ嬉しかったやろうなぁ。おいくつかはわからないけど、「虹を見ようぜ!」って言って、「わーー!」って集まって来てくれる人達がいて、めっちゃ救われただろうなぁ。
(奈津美)う~ん。そんなことが…あったなぁ。
(侑子)素敵素敵。素敵なエピソードやなぁ。私たちが嬉しいなって思うことは、患者さんも嬉しいんやろうなぁ。
原則2:日常を彩る工夫で、小さな変化をもたらす
患者の眼に映るいろいろな物の、その形の変化や色彩の美しさ、それはまさに、患者に回復をもたらす現実的な手段なのである。
ー『看護覚え書ー看護であることと、看護でないことー』現代社より
(侑子)他にも変化についていろいろ書いてあったけど、お花のこととか書いてあってけど、お花って飾る?
(奈津美)いや…アウトだよね。病棟ではね、生花持ってきたら、持って帰らせるもんね。
(侑子)あ~、そうやんねぇ。
(奈津美)よくドラマとかはね、お花飾ったりとかしてるけど、現実はそうじゃないよね。
(侑子)うんうん。個室でも無いな。
(奈津美)無いない。病院…特に急性期病院はね。「生花が緑膿菌の発生源になるリスクが高いから」っていう理由があるからなんだって。ナイチンゲールは、可愛らしいものとか気の利いたもん…の代表としてお花を推してたけどね。
(侑子)そうなんだね~。
(注) 生花の表面には「緑膿菌」などの細菌や「アスペルギルス」などの真菌が付着しており、それらは花瓶の水にも存在するといわれています。緑膿菌は、健常者には無害ですが、抵抗力がはなはだしく低下している人に対して、呼吸器感染症や尿路感染症、菌血症、敗血症などを引き起こす可能性があります。(引用:https://www.kango-roo.com/work/910/)
(奈津美)緑膿菌の問題だけじゃなくて、正直、患者さんがお花の世話ができなかったら、看護師とか看護助手が手入れをするんだろうけど、他の業務の多さを考えると、マメに手入れはできないなぁとも思う。
(侑子)あ~、確かに確かに。
(奈津美)そうすると不衛生だからってことで、ダメなのかなぁって思ってたけど、ちょっと皮肉な感じがする。
(侑子)そうやんねぇ。
(奈津美)医療が高度化していることを言い訳にはしたくないけど、「あれもしなきゃいけない、これもしなきゃいけない、この介助もつかなきゃいけない」ってそういうのに追われて、患者さんの身の回りの環境整備とか、お花の水をちょっと変えるっていることが負担に感じちゃうのが現場の素直な感情かもな…って。
(侑子)そうやんね~。緊急性はないけど、患者さんの心が安らぐなら結構大事なことやと思う。でも私自身、過去を振り返ってみても、花の水替えまで気が回らなかったと思うな。厳しかったよなぁ。厳しかったぁ。そうさせてる仕組みがあるよなぁ。
(奈津美)お花一輪でもあったらさ、毎日花が開いたりとかさ、ちょっと育ってきたりとかさ、葉っぱが延びるとか、そういうの見てたら患者さんも安らぐよね。
神経衰弱に陥っている患者さんとかも書いてあったけど、絶対気はまぎれるし、毎日同じ造花じゃなくて生花っていうのも変化があっていいんだろうなって思う。現代の病院に合った、生花の変わりになるようなものはないかなあ…。
病人というものは、脚の骨折のときに他人の手を借りないかぎり脚を動かせないのと同じように、外から変化が与えられないかぎり、自分で自分の気持ちを変えることができない。まったくのところ、それこそ病気についてまわるひとつの大きな苦痛なのである。
ー『看護覚え書ー看護であることと、看護でないことー』現代社より
(侑子)前の職場は保育士さんがいたから、保育士さんが行事ごとにナースステーションを飾りつけしてくれたりしてて。それで私たちも「あ、いま〇月なんや」って気が付くんだよね。病棟に入るとそういう認識がなかったりするけど、飾りがあるおかげで「もうすぐ七夕なんや」とか「もうすぐクリスマスなんや」とか、そういうことに気づける。それって、外から来た私たちがそんなんなんやから、入院中の人たちは余計に時間の流れというか、それこそ変化がなくてすごい単調でつまらないものになってしまっているんじゃないかな…
(奈津美)ずっと天井見上げてるみたいなね…
(侑子)そうそう、なんか季節の変化を感じて喜んでる様子見たら、なんかこっちも嬉しくなるし。
(奈津美)意図的に変化をつけてあげない限り、ご飯すらローテーションで出てきたりするじゃん。ケモ(化学療法)とかで長い入院になる患者さんは特に、「またこれか」ってなったり、「毎朝パンか…」みたいになったり、全粥とかソフト食とかはとくに、おかずが固形じゃなくなってしまうから、もはや昨日のご飯と何が違うんだろう、みたいにね…。
(侑子)たしかに…(笑)
(奈津美)しかも、そういうの食べてる患者さんって寝たきりだったりするからさ、見てるものは壁ばかり…
(侑子)食べてるものはペーストばかり…。何の変化も感じられないかもしれないね…。
(奈津美)そうそう、何の変化もないと思う。意図的に窓の外の景色に目を向けてもらうとか、行事を盛り上げたりとかさ、「もうすぐ七夕ですよ」とか声をかけたりとかするのってすごい大事…。
(侑子)いや、そうやんね、こんなこと意味あるんかって思うようなことが、めちゃめちゃ意味あるよって。
(奈津美)なんかね、落ち葉拾ってきた看護師いてさ(笑)
(侑子)え?!(笑)
(奈津美)ほんと当時の私が全然ダメだったなって思うんだけど、その看護師は一年目でそんなにバリバリ働く感じでなかったのもあったからか、あんまり私とコミュニケーションがうまく取れなかったの。
「なんなんだろう」って思う気持ちが自分の中にあったのもあって、落ち葉拾ってきて、見せながら「紅葉しててきれいですよ」って患者さんに話しかけてた時、「あなたそれよりも先にやることあるでしょ」って思っちゃったのね(笑)
でも今思えばそれって、ある意味、すごく意味のあることだったなって。みんな落ち葉を拾っておいでっていうわけではないし、何をおいてもそういうことをしたほうがいいというわけではないんだけど(笑)
(侑子)こんな変化があるのを見つけたよって、「患者さんと共有しよう」とした気持ちが素敵やね。
(奈津美)うんうん、それって看護の大切な心の一つだったよなって、今は思う。その時これを読んでいたら「それいいですね」って言えていたんじゃないかなって今なら思う・・・反省(笑)
(侑子)確かに確かに~そうかもね~。私は今訪問看護をしていて、やっぱりどうしても、家の中で24時間ケアをしてるご家族さん、特にお母さんたちは、どうしても1日の大半を家で過ごすパターンが多くて。私たち看護師が訪問することで、ちょっとそこに風が入って日常に変化があるみたいな感じがするかなとは思ってて。
私は日頃の話とかもするんだけど、例えば「最近花を買いだしたんですよ~」とかいうと、「花って、ほんまに癒されるよな~」って、訪問先のお母さんの顔がめちゃくちゃほころんでたの。やっぱお花一輪あるだけでも全然違うんやなとかはめちゃくちゃ感じたな~。病院では花を飾るってことが叶えられないかもしれないけど、いろんな工夫して、病棟の飾りつけするとか、外の景色一緒に見に行くとかそういうことでも変化とか季節感を感じられるんだなあと思った。
(奈津美)季節感って大事よね~。行事食とか、栄養科も頑張ってくれてるところあるじゃん?私がいた病院では月に2回は行事食やってるんですって栄養士さんが言ってて。正直「へー」くらいにしか思ってなかったんだけど、あれめっちゃ素晴らしいことよねって思った。
(侑子)そうよね、素晴らしいんだよね。ナイチンゲールもボイルドビーフ攻めにあった兵士の話してたけど、食事にも季節感とか変化をもたせるのって大切だね。
(奈津美)七夕にはオクラいっぱい入ったお星さまみたいなスープが出てきたりさ、そういうね、なんか「いまこの時期なんだな」とか「季節は巡ってるんだな」ってわかる何かをこちら側が積極的に提供するっていうの大事。
(侑子)そういうのも大事やったんやなって改めて思ったよね。
原則3:看護師は感性を磨き、変化に敏感になること
(奈津美)あとはさ、変化のあることを相手に与えるっていうのは、自分がそもそも変化に気づいてないとできないよなって読みながら思ったんだよね。
(侑子)あー、たしかに!
(奈津美)「富士山きれいだな」って思わなかったら窓の外を見せようと思わないし、虹が出てることに気づかなかったら、一緒に虹を見にいくこともできないし、落ち葉がきれいだなって気づけなかったら、それを患者さんに共有して「いま季節が巡ってるんだよ」って伝えることもできない…だから、そういう感性を大事にしておくことも看護師には求められてるんじゃないかなって。
(侑子)あーーーーー、すごーーい、確かにそうやね、「変化に気づく」のがあたしらの仕事みたいなものでもあるし、それは人の心の動きとか体の変化だけではなくって、やっぱりその、外の自然の変化というか、もっとおっきな全体的な流れというか、そういう変化にも気づく能力が求められるかもしれないね。
(奈津美)そう、そんなこと思った。私たちの心が「忙しい」で支配されてしまうって本当にもったいない。「忙しい」って文字通り心を亡くすことだと思うから、ゆったりいろんな変化に気が付く余裕が無くなっちゃいがち。
(侑子)そうやね、やっぱり今は、色々覚えないといけないことも多いし、医療も高度になってきてるから、「アセスメントして!!」とか「根拠は?!」とか、考えることと知識はすごく求められてるなとは思うけど、もうちょっと人間らしく、感性を研ぎ澄ますというか、感性を鍛えるっていうのも、私たちには必要なことなんかなって思うな。もうちょっとバランスをね。
(奈津美)論理的な思考とかね、EBM(Evidence-Based Medicine)とかEBN(Evidence-Based Nursing)とか言われている時代だけれど、感性も大切かもしれないよね。論理的思考と感性のバランス。ただ、医者が「感覚でやってる」って言ったらちょっとそれ大丈夫?!って、思っちゃうかもしれないけど(笑)
(侑子)そうやね(笑)確かに(笑)看護師は感覚も大事やね。だからこそ患者さんに寄り添えるというか。なんか全然見てる景色が違うかもしれないよね、看護師と患者さんとね。
EBMとは、最良の「根拠」を思慮深く活用する医療のことです。EBMは、たんに研究結果やデータだけを頼りにするものではなく、「最善の根拠」と「医療者の経験」、そして「患者の価値観」を統合して、患者さんにとってより良い医療を目指そうとするものです。山行文献:厚生労働省HP
EBNは、「根拠に基づく看護」のことですが、看護専門書やテキストから得られた知識よりも看護研究から得られた確かな知識に基づくケアの重要性を意図しています。参考文献:岩手県立大学看護学部HP
余談:「同じ毎日はつまらない」という思い込みを止めてみる
(奈津美)私、看護師一年目の時、高橋優の『同じ日々の繰り返し』っていう曲ききながら仕事にいってたのね(笑)そしたら本当に毎日って同じことの繰り返しな感じがしたし、すべてが単調に過ぎっていって耐えるだけの日々だったの(笑) 同じ日なんか一日もないのにさ(笑)
そうやって、曲をネガティブに解釈して、自分で自分のこと洗脳しちゃって何の変化もない毎日を過ごしてるって思いこんでたから、何の変化もくみ取れなくなって、看護が楽しくなかったんじゃないかなって思ったの(笑)
(侑子)たしかに~思い込みやんな(笑)同じ毎日はつまんないよなっていう思い込み。
(奈津美)ね、思い込み(笑)そもそも同じ日なんかないし(笑)
(侑子)ね、ほんと日々変化しまくりやし!(笑)
(奈津美)そうそう
(侑子)でも、それ私面白いなって思ったときあった。なんかこんなに忙しくって、こんなに毎日患者さんがたくさんいて、「なんでこんなに毎日いろんなことがあるん?」ってすごい思ってたんよ、そん時(笑) でも、毎日バタバタ走り回るような生活って、ある意味貴重やし、あたしは変化が好きやったから、なんかそういう人間にはありがたい現場だなと思ったことがあった(笑)
(奈津美)すごい前向きな考え方(笑)
(侑子)通勤先は同じやけど、その先の現場で毎日いろんなことが起きてるの。変化のあることが面白いな、と思ったなあ。なんか人って変化をあんまり好まないということもあるけど、体は毎日おんなじことをするとよくないということもあったり(笑)
(奈津美)確かに!不思議だよね。「変化のある事」。これが100年以上も前に看護としてピックアップされていて、本にまとめてあるっていうのが、衝撃かも。
(侑子)そうやなー!なんか当たり前にしてるから、あたしら自身も「変化」が大事なことなんだってことに、気づけてないというか。
(奈津美)もっと取り入れていこう。大事な看護の一つだし。疎かにされがちだけど。
(侑子)花を飾るとか大きなアクションじゃなくてもできることはいっぱいあるよね。言葉だけでも。
(奈津美)うんうん。「今日は昨日より暑いですね」とか「今日梅雨明けしたらしいですよ」とか、声掛けするだけでも、毎日の変化に気づかせてあげられるきっかけを作れるかもしれない。
(侑子)そうやんね~。
おわりに
小さな変化に気づくことが、私たち看護師の仕事だと思っていた。しかし、「気づく」だけではなく、日々に「変化をもたらす」ことも、大切な看護の1つであることを、『看護覚え書』の第5章【変化:Variety】から学ぶことができた。
ある意味それは、「目の前にあるもの」に目を向ける力を、看護師に問うているのかもしれない。
今、目の前にある環境、景色から感じられることは何だろうか。
それを、どのような言葉、行動で表現できるだろうか。
看護師自身が、日常に目を向ける視点を変えることが、看護ケア向上のひとつになり得るのだろう。
次回の対談もお楽しみに!
<対談者プロフィール>
【奈津美】
’92年生まれ。ドラマの影響で看護の道へ進むことを決意。しかし臨床1年目に一度挫折を経験する。「やっぱり看護が好きだ」と気づき、現在は病棟の副主任看護師を務めている。たくさん泣いて転んで落ちこんだからこそ、人の生きがい、人間関係、死に方と生き方を大切に思うようになる。看護師を癒す看護師でありたい。たくさんの人の人生を、わくわくするものにしたい。食べること、歌うこと、ビールと日本酒が大好き。
【侑子】
’92年生まれ。現役小児訪問看護師、兼ベビーマッサージ講師。人の目を気にして自分の想いと葛藤し、きゅうくつな幼少期~思春期を過ごしていた。生きづらさから脱したくて「私を知りたい」と、小児領域に飛び込む。トライandエラーを繰り返しながらも、自分らしくのびのび生きることを体現している。子ども・家族と心を通わす看護を、体現したい。山と旅、新しい価値観に触れることが好き。山登りは、ハードさよりもゆったり景色を眺める縦走が好み。発酵食、保存食づくり、星読みしてます。note書いてます。
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