映画「ジプシーのとき」感想

 少年が、愛のために大人になろうとし、生きるために汚れてゆき、嘘をつくことを覚え、自分をだまし、それゆえ人を信じられなくなり、一番大切だったはずの愛を失い、純粋さを捨て切れないまま破滅していく物語。

 切なかったぁ…… また音楽が場面によく合っていて素晴らしいんだ。ジプシー音楽はもちろん、セルビア正教会の聖歌なども取り入れたそう。

 ジプシーの貧しさ、ズルくないと生き抜けない悲しさ、などが重要なテーマではあるのだろうけど、どんな国にいても人間は、綺麗なままではいられないところがある。
 ストーリーや一つ一つのエピソードはかなりハチャメチャでありながら、普遍的で、非常に共感出来る話だと思った。

 ジプシーたちが大勢集まり、川に灯火を流す場面が幻想的で美しかった。クストリッツァ監督の、夢と現実が混ざり合った世界。クセになりそう。

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