銀河英雄伝説のアニメ(1988年~2000年に発表されたもの)感想

 私が原作にハマっていた中学生の頃(30年以上前)には第1期(最初の26話)しか見られなかったので、本編の最後までしっかり作られていたことが分かり、幸せでした。

 当時は、
「皇帝からお姉さんを取り戻す」
 というラインハルト側の物語に興味を持ち、彼らの華やかさに憧れていた。

 大人になった今の感覚だと、同盟側の政治家たちやフェザーンの駆け引きが面白いですね。
 あんな正義が何か分からない戦の指揮を取らされていたのだと思うと、ヤン・ウェンリーの諦観に胸が痛くなります。

 愚かしい偉い人がたくさん出て来て、子供の私は、
「ちょっとやり過ぎだろ」
 くらいに思っていた。でも大人になってみると、
「現実ってほんとこんなだよな~」
 と。あれがリアルな話だなんて知らなかったよ。

 気がついたらヤン・ウェンリーがめちゃくちゃ歳下になっていた。
 歳下の男として見てみると、少々あざとさを感じるくらい可愛いですね。

 ラインハルトのお子様っぷりにも驚いた。
 あれじゃあ、オーベルシュタインは赤子の手をひねるようなものだったろうよ。
 結婚を申し込みに行く場面が可愛かった♪

 オーベルシュタイン、中学生女子には嫌われていましたが(私は好きでした)たった一人の常識人じゃないですか?!
 他の人達が「軍人の論理」で動く中、どうにか被害を最小にして、平和な世界を実現しようとしている。
 よしながふみの漫画「大奥」の春日局のセリフを読まなかったら、こんな風に思うこともなかったかも。

 子供の頃には気付かなくて、今回一番心打たれたのは、
「その国の政治形態が、そこに住む人々の人間関係に影響を及ぼす」
 ということ。

 帝国側には身分制度があり、上の言うことは絶対だから、みんな、
「上に上がろう」
 という気持ちが強く、ちょっとしたことでギスギスするし、その心の隙間を敵に利用されてしまう。

 同盟側は役職はあっても身分はない。
 自国の政治やら帝国艦隊の数の多さやらにいつも追い詰められているのに、人間関係は常にほがらかで隙がない。
 これは上に立つヤンやビュコックの人柄によるところも大きいと思う。

 民主主義は「無条件に素晴らしい制度だから」ではなく「たくさん問題があるけれども、人と人が主従ではなく、対等な立場でつながるために必要な考え方だから」大切にしなければいけないのだと感じる。
 この世界情勢の中だといっそう味わい深い。

 声優陣も素晴らしかった!
 鬼籍に入られた方も少なくない。

 メルカッツなんて子供の私にはおじいさんで、全然興味なかったし忘れていたけど、声が納谷悟朗さん(ユパ様・銭形警部)なのもあってキュンキュン。
 Dちゃんに、
「萌える相手の年齢が上がってる」
 とからかわれました。

 そうそう、Dちゃんと一緒に見られたのも嬉しかった。
 Dちゃんは「ロイエンタール」という名前を覚えずに「アナゴくん」と呼び続けていた(声優がどちらも若本規夫さん)

 他にも、ちびまる子ちゃんの父・祖父・ナレーターとか、ラムちゃんとあたるとか、私が熱心にアニメを見ていた頃のスター声優がわんさか!!

 一番すげー! と思ったのはフレデリカ役の榊原良子さん。
 映画「風の谷のナウシカ」でクシャナをやっていた方ですが、全然クシャナっぽくなかったの!
 優しく芯の強いフレデリカと、強気ながらどこか脆さもあるクシャナ。
 どちらも「強い女性」でありながら、完全に演じ分けていた。

 ビュコック提督、どこかで聞いたことのある声、と思ったら、バカボンのパパですね。
 ビュコック提督の最後のセリフを聞いて、
「臣下ならいくらでも作れるけど、もう二度と友を得ることは出来ないラインハルトが、友情で結びついている同盟軍と戦う話だったんだなぁ……」
 と思いました。

 色んな楽しみ方が用意されていて、今見ても十分面白かったです。

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