野村哲也「イースター島を行く―モアイの謎と未踏の聖地」感想

 モアイで有名なイースター島を紹介する本、つまりノンフィクションなのだけど、読んでいる間ずっと、ファンタジー小説の世界にいるような気持ちだった。

 島内のあらゆる場所で大切にされている「マナ(霊力)」他の部族のマナを奪うために行われたという「モアイ倒し戦争」
 「地球のへそ」と呼ばれる石のRPGっぽさ(触ったら絶対MP回復する)

 紐パン一丁でモアイの横を駆け抜ける、筋肉ムキムキの男たち。貝殻で作った衣装を着た女たちの、健康的で力強いエロス。

 現地の言葉「ラパ・ヌイ語」の可愛らしい響き。
「マウルル、マウルル(ありがとう、ありがとう)」
 写真でさえ圧倒される美しい大自然。

 現地に行けなくても、この本を開くたびイースター島で冒険することが出来た。
 実在する、幻想の島。

 税込み1100円の旅。本って素晴らしい! 新書って素晴らしい!!

 そう、大きな写真集ではなく、文庫よりちょっと縦長なだけの新書サイズで、それにもかかわらずカラー写真が贅沢に使われているのが、良いのよ~ どこにでも持っていける。

「お金はないけど遠くまで旅行したい!」
 という人はぜひどうぞ。

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