画廊の楽しみ方ーーなんで画廊に足を運ぶのか(56)
コクテイル書房で行なわれた個展に行ってきました。そこでは、シンガーソングライターが、ひとの顔を描き続けたペン画が所狭しと飾られていました。
肖像画について、ふっときになったことがあります。それを書いておきます。
美術というのは、西洋の美術と歴史に大きな影響を受けています。キリスト教の文化においては、ペルソナというものは、大切なモチーフで、対話、対面、そして、至福直感に通じています。
そして、三位一体の神のありように向き合うということ、ペーソナリティ、自分だけに向いてくれている神のペルソナに向き合うわたしのペルソナが、わたしの個を自覚させてくれるのです。
顔というのは、大切なモチーフなのです。
僕は絵を見るとき、わたしの心の置き場所を絵の中に探します。その余白こそが、絵をみる視点のひとつだと考えています。
肖像画、自画像というものには、そういう場所が、みあたらないようにもおもいます。彼らの視線の先には往々にして、神のような絶対者が喚起させられているのかもしれません。
わたしと何ものかが見つめ合う、その視線の間には入りにくいのかもしれません。