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つくりかけラボ+ライブラリー+常設展

今日は一人で千葉市美術館へ。写真家・金川晋呉さんの展示メインで楽しむことになった日。
つくりかけラボは、金川さんが担当されている「知らないうちにはじまっていて、いつ終わるのかわからない」の会期中。びじゅつライブラリーにも常設展にも、金川さんのコーナーがあり楽しんだ。

美術館の建物が内包しているレトロな建築・さや堂ホールにも、自由に入れるタイミングだったらしい。今日の写真はホール内外だけ。

ホールへの入口の一つ

いつだったか、金川さんを偶然お見かけしたとき、つくりかけラボを担当される、というお話をいただいていたので気にしていた。

金川さん。私にとっては、今のnoteに繋がる、ななめな学校「夏への扉」ワークショップのときの先生。先生ではあったが、何か目標を持って具体的に教えるという内容ではなかった、写真と日記のワークショップ。

今のつくりかけラボの雰囲気からも…
そんな、ありのまま感というか、試行錯誤感というか… 
会場の様子を写すのは不可のため写真はないが、人が飾らなくても盛らなくても面白いことが伝わる内容だった。

飾っている様子の写真もあるが、飾らない写真の方が多かった。そばに手書きでコメントされていることで、それぞれのありのままを楽しめた。

特にそれを感じたのは、会場内でのワークショップ用に置かれていたファイルの中。

金川さんが書かれた手書きテキストの「恥ずかしい」という言葉のブレだけでも伝わる感じが面白かった。「恥づかしい」と書かれていたり「恥かしい」と書かれていたり。誤字というより面白さの方が大きかった。

書きかけというより書くページを間違えただけのような、一言で終了しているページも見かけたり。

そのファイルには、写真を仕事にする人の特徴のような話もあり、先日の吉田志穂・個展「印刷と幽霊」を思い出したりもした。

会場内のワークショップは面白そうだったが参加しなかった。自分が写っている写真データを添付して印刷して、書き込んでワークシートを完成させる手順だったと思われる。

自分が写っている写真って?あったかな?自撮りしないうえに、会場内に展示されても個人情報として問題ない写真って?と考えた。

どれにしようか悩む以前に、3枚も見つけるだけで大変なことだろうと、さっさと諦めた。外出中にアクセスするならGoogleフォトになるが、顔の検出・グループ化の機能はOFF。

見出し画像の窓の外側。
ここは美術館の建物内。
更に外側の館外の日差しが、
床に広がっていたのが見出し画像

ライブラリーへは、単純にしばらく本を楽しむために入った。
金川さんの著書コーナーがあった。そうか、ここも展覧会コラボで動いているんだった、と思い出した。

10月に出版されたばかりの「明るくていい部屋」があり、パラパラとめくって楽しんだ。お家での日常らしさのある写真集。巻末のお話は、試行錯誤感というか、つくりかけラボと似た雰囲気だった。

ライブラリーでは、美術家の森村泰昌・著「ほんきであそぶとせかいはかわる」という絵本を見かけて楽しんだ。
絵本の棚に並んでいたが、大人が読んでも面白さのある本と思う。富山県美術館の作品紹介でもあるが、アートの楽しさが伝わる本。

会期中の企画展のアーティストさん、ザ・キャビンカンパニー・著「ポコンペンペン ばけがっせん」というカラフルな絵本も楽しんだ。化けるパターンはいくつあるのかと思うバリエーションだった。

あと、「夏への扉」ワークショップ参加者にいらした、植本一子さんの著書が3冊、棚にあるのも見かけた。

常設展では。
そのワークショップ参加者さんの一人の、お祖母様の写真をまた見ることができた。ワークショップ当時の撮影で、当時は沿線のモノレール車内や、近辺の駅などでも見かけた素敵な写真。

金川さんの近年~今年のセルフポートレートも8枚展示されていた。
自撮りではなくても自分の写真がたくさんあるんだなと、単純に思った。
いろいろなタイミングでのご自身の写真は、記録でもある様子。それは、つくりかけラボの展示からも感じられた。

常設展に「田中一村と千葉」特集があった。

色紙に描かれた「ホオヅキ」の赤さをきれいだと思ったり。
「阿蘇草千里」に描かれた、小さな茶色い馬と、草原の広い空間が心地良いと思ったり。
「奄美冬彩」は冬でもカラフルだった。山道のような道端の景色が心地良かった。木の細い葉は紅葉していて、白や黄色の草花が咲いていた。
植物や熱帯魚が描かれた「スケッチブック(熱帯魚ほか)」の細かな描写がきれいだった。

「日本創作版画協会の作家たちV」特集もあり、稲垣知雄作品が素敵な雰囲気だった。シャープな線で彫られたカッコイイ「椿」の生け花。逆に丸刀で彫られたレトロな建築「関東大震災直後の如水館」の柔らかい雰囲気。

さや堂ホール。古い銀行の建築が内包されて残されている。
到着時と帰りに楽しんだ。

帰りのさや堂ホールは独占だった。ホール内は、外よりも薄暗く黄昏時たそがれどきの素敵な雰囲気。こんな素敵なタイミングを独り占めなんて幸せ過ぎる。…とテンションが上がった。

が、外に出ても人気ひとけがほとんどない。車は通っていたのだろうが…

ココハ ドコダ?

何度となく来たことのある場所だというのに…
旅の途中のような、旅から帰ってきたばかりのような違和感だった。

つくりかけラボで、多くの人のいろいろな時・土地の写真を見たからか。
アーティストユニットNerholネルホルの常設展の写真は、物理的に時間が積層していた。

違和感の出どころは不明だが、展覧会の影響を感じた。
鳥の群れで、空が歪んでいるように見えていた影響もありそうだった。

帰宅途中からは、見慣れた人の多さで日常に戻った感じがした。
澄んだ空が真っ暗になる前、違和感なく帰宅した。