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夢の始まりはどこ?終わりはどこ?
人は生まれてから死ぬまでの間、平均して6年間夢を見ているのだそう。
一生の間に夢を見ている時間が6年間って、考えてみるとすごい。凝縮すると小学校時代が全て夢だったってことだ。習字の授業中に墨汁を派手に落としてしまい席の周囲の床を真っ黒にした日も、何故だか忘れたけれどクラスの男子全員に「果たし状」を書いた日も、持ち帰ろうとした給食の揚げパンのビニールがランドセルの中で乱暴に入れた教科書に押しつぶされて破け、中のもの全てがベトベトになった日も、全て夢だった事にしたい。
一生の間に6年間ってことは、つまり毎日約2時間なのだそうだ。ほとんどの夢は5分から20分間で、目が覚めて10分以内に90%の夢は忘れてしまう。強烈な印象の夢以外は忘れるのだろう。
あっけなく忘れてしまう儚い夢の世界に連れて行ってくれるのはフジモトマサルさんの「夢みごこち」。眠りにつくと知らない不思議な世界にトリップして、そこからまた別の世界に行って、そこからまた別の世界へ...。やっと戻ってきたところは本当に現実の世界なのかそれともそこも夢なのか。
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夢の始まりはどこ?終わりはどこ?
あなたが見ていた夢は本当に夢?私たちが今いるこの世界は確かに現実?
多くは語らないフジモトマサルさんワールドに引き込まれ抜け出せなくなる。繰り返しの日々に疲れ現実逃避したい時に最適の1冊。
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フジモトさんは若くしてお亡くなりになったから、生前に見られた夢の合計も「平均」の6年間に達していないだろう。だけどわたしはこの本を読むたび、この世とあの世は夢の中で繋がっていて、フジモトさんも今頃はその何処かで自由気ままに過ごし、生きている時には見られなかった分の夢時間を満喫しているんじゃないかなんて夢想する。