雲外蒼天 ~困難を乗り越え、克服し努力すれば良いことがまっている~
仕事を辞めてから下ばかり見て歩いていた。
何にも興味を持てず、人や自分に期待と自信を失くしていた。
何のために生きているのか、どこで道を間違えたのか。
答えなんて見つける気力も見つけようとも思わなかった。
仕事を辞めて9ヶ月、肌寒くなった10月。
理由はわからない、日差しの反射で下を向いて歩いていてもまぶしい日。
まぶしさを逃れるため手で日差しを避ける。不意に顔が上がった。
歩みを止める。
目が焼けるほどのギラギラとした太陽。
そして、明瞭な蒼い空にわたあめのようにふわふわとした真っ白な雲。
映画を観たときに「世界観に引き込まれる」と表現することがあるが、まさにこのことだった。
見慣れていた景色のはずなのに、初めて見た感覚におちた。
今までの悩みなども忘れていた。
同時に考える。
私が生きてきた時間よりも永く地球を見てきた空に比べれば私の悩みなどあまりにも小さい。
こんなにも美しい空を見れただけでも生きていて良かったと実感する。
いつも蒼空とは限らないし、再び下を向いて歩くことがあるだろう。
それでも悩みや困難を乗り越える。
美しい蒼空を見るために私は上を向いて歩く。