ファンコミュニティの企画を生み出すユーザー体験設計
Gaudiyでコミュニティ運営・企画をしているコミュニティマネージャーのイーピン(@wuyiping7)です。「Gaudiy Advent Calendar 2022」の17日目を担当します。
こちらの記事では、コミュニティ運営で大きな比重を占めている「企画のつくり方」について、実際にやってきたことを振り返りながらまとめてみようかなと思います。
特にコミュニティマーケティングに携わっている方や、企画職の方に、少しでも参考になればと思います。
なぜ企画をするのか
Gaudiyでは、Web3時代のファンプラットフォーム「Gaudiy Fanlink」を開発・提供しています。Gaudiy Fanlinkを通じて私たちが目指すのは「IPとファンが共創する」コミュニティづくりです。企画を通じてより多くのファンにFanlinkを使ってもらい、ファンの行動変容を起こします。
実際、Gaudiyでどのようにコミュニティ運営をしているかについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください👇
どのように企画を作っているか
ステップとしてはWHY、WHAT、HOWの手順で進めています。
ここからは、私が実際担当した「漫画家さんが出品するNFT販売」を例に用いながら説明していきたいと思います。こちらの事例は、多少の機能開発を伴う大きめの企画になります。
各ステークホルダーの目的を明確にする
企画の具体内容に入る前に、まずは企画の目的(WHY)を整理します。Gaudiyの場合、様々なIP(ゲーム、アニメ漫画、アイドルなど)のファンコミュニティを運営しているので、企画をする際には以下3つのステークホルダー視点から企画のWHYを明確にします。
<ビジネス視点>
パートナー(IP元)のビジネスゴールは何か?(例えば:漫画作品の読者MAU増、CDの発売数増など)
コミュニティとして達成したいことは何か?(例えば:新規流入増、既存ユーザーの定着、ライトユーザーのエンゲージメント数増など)
をまずは確認します。こちらが曖昧な場合は、パートナー企業の担当の方にヒアリングを実施し、今回の企画で達成したいことをお互いに合意します。
また、コミュニティーマネージャーの役割としてコミュニティが今どんな状態にあって、どこが課題なのかを常に把握しておく必要があります。
<ユーザー視点>
ユーザー視点は、3つのステークホルダーの中でも一番重要な視点になります。ターゲットユーザーが今何を求めているのか? この企画によって、ユーザーにどんな体験をもたらすか? を言語化します。ビジネス視点から始まる企画の場合、必ずしも最初からここが明確になっているわけではないので、その場合はユーザーリサーチを行うことで解像度をあげています。
<Gaudiy視点>
Gaudiyは企業から案件を受注して、案件ごと機能や企画を打つのではなく、Fanlinkというプロダクト中心でPLG(Product-Led Growth)型のビジネスモデルを取っています。そのため、一つ一つの企画において、Gaudiyのビジョンの達成においてどのような位置付けなのか、再現性があるかも考慮に入れる必要があります。
今回のNFT販売の例で言うと、以下のようなWHYになります。
ユーザーリサーチを行う
企画を通して、ユーザーにどんな体験を味わってもらいたいかを明確にするため、ユーザーリサーチを行うことが多いです。ちなみに、Gaudiyでは「リサーチ」をクレドに入れるほどリサーチ文化を徹底しています。
リサーチの目的は企画によって違いますが、基本的にはターゲットユーザーの行動、インサイト、メンタルモデルの探求になります。リサーチ方法は時間、工数、必要性に応じて適切な方法を選びます。
TwitterなどSNSの検索
フィールド調査
不定期でユーザーインタビューやアンケートも実施しているので、ストックされているユーザーインタビュー資料から必要な部分をもう1回読み返すなどをしています。
場合によっては会社内ドメイン知識を持っているメンバーにヒアリングしたりします。
具体的にどのようにフィールド調査やユーザーインタビューをしているか知りたい方は、こちらの記事をぜひご覧ください👇
今回は以下のリサーチを実施しました。
まず原画を購入した経験のある社内メンバーの1人にヒアリングして、購入するまでのタッチポイント、ユーザーの行動、考えをまとめました。
次にTwitterから、漫画原画の購入に関係しそうなTweetのスクショをとりました。ユーザーの感情が高まるタイミングや、原画をどのように楽しんでいるかなど、感想や気になりを付箋で貼っておきます。
さらに、NFTマーケットプレイスやイラストを出品して販売できるプラットフォームの類似サービスをリサーチしました。画面をスクショして、同じく体験として重要そうなポイントや、購入の決め手になっている要素を書き出します。例えば、希少性、歴史や記念すべき瞬間のコレクション、所有による作品との一体感、所有者だけのユーティリティなどが要素として挙がりました。
理想的なユーザーフローを描く
リサーチが完了したら、次に理想的なユーザーフローを整理します。
ユーザーフローに沿って、体験設計において解決しないといけない課題も洗い出します。
理想な体験を実現するため、ソリューションをブレスト
今回の企画はクリエティブの制作や一部機能の開発も発生するため、課題に対するソリューションはデザイナーやエンジニアメンバーと一緒にブレストしました。
時間の制約があるため、リソースのレベルで「クリエイティブのみ」「実装が必要で、コスト低」「実装が必要で、コスト高」「将来的にやりたい」の4段階で、課題に対して思いつくソリューションをブレストしました。そして最後に優先度をつけて、それぞれのタスクとネクストアクションを決めて、こまめにコミュニケーションを取りながら進行しました。
以下が今回、特に大切にした体験上のポイントです。
振り返り
企画はやって終わりではなく、今後に活かせるようにチームで振り返りをしています。今回はNFTの販売期間が1ヶ月間あったため、関係するメンバーで期間中に中間振り返りも実施しました。
定量定性評価
また、目標に対してどのくらい達成したか、仮説のブラッシュアップや修正が必要か、何か新しいインサイトがあったかなどを整理します。
定量分析はデータアナリストと連携し、評価をしています。
今回は初めてのNFT販売だったため、実際にNFTを購入された方向けにアンケートも取りました。「購入者はおそらくこの辺りに不満を感じているのでは」「こちらの理由でNFTを購入したのでは」といくつか仮説を出してからアンケートを設計しました。(今回は時間やリソースなどの関係で、NFTのユーティリティが十分ではなかったことが要因ではと考えました。)
企画においてはカスタマージャーニーという手法を多用していますが、他にもフックモデルやユーザーストーリーボードなどを使うこともあります。これらはあくまでもユーザーフローを整理するためのツールであって、手法に執着する必要はありません。
重要なのは、企画を点ではなく線で整理して、本当に意図したフローでユーザーが行動してくれるかをイメージすることです。
まとめ
企画をつくる上で重要なポイントを最後にまとめます。
なぜこの企画をやるかを明確にすること。
企画を通じてユーザーにどんな体験を提供したいかを整理すること。
ユーザーリサーチや、他社サービスのリサーチなどを徹底的に行い、体験を点ではなく線で整理すること。
企画をやって終わりにせず、定量定性評価を行い、社内のナレッジとしてちゃんと蓄積すること。
さいごに
Gaudiyでは一緒にWeb3時代のユーザー体験を創ってくれるコミュニティマネジャーやプランナーを募集しています!
少しでも興味がある方はぜひこちらをチェックしてみてください!
明日のアドベントカレンダーは弊社エンジニアの勝又さん(@winor30)が担当します。
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