熱が出たなんて言えない
まったく、人生思ったように進まない。
この前、ある人と大喧嘩をした。大喧嘩と言っても、ある人が言ったことに対して私が一方的に怒鳴り返してしまった。
春先から通院して経過観察しているSLEは、ここのところ落ちついてきていた。血液検査の数値も正常になり、体も大分楽になった。
これまでは色んな人にゆっくりしてねと言われて、体もそれを望んでいたので私はただただゆっくり、時間を過ごしていた。しかし、症状が安定してくると、不思議とゆっくりしている自分に対して焦りが生じてくる。このままではダメだ。ゆっくりしていてはダメだ。いつまでも療養だなんて言っていられない。そんな気持ちがわいてきて、動きたい気持ちで一杯になった。そうしなければ、ダメ人間になってしう気がして‥。
ある人と大喧嘩したのはそんなことを思って、倒れる前にいた山奥の集落へ少し遊びに行きたいと話したときの事だった。
出掛けることに対して、ある人は私に言った。良くなってきていると言っても、無理はしてはいけない。まだそんなに動いてはダメだ。もう少しゆっくりした方がいい。そんなことを言ってきた。
そして最後に、「治ったなんて思わない方がいい」と加えた。
私の計画に反対したことに腹をたててしまった部分もあるが、最後の一言に対して、怒りや悲しみがあふれた。
私が治療している病気はイワユル「難病」だ。症状が落ち着く寛解という状態はあるが、治ることは無いといわれている。
だから、今、私の症状が良くなってきているとしても、別に治った訳ではない。自分でも理解しているつもりだ。それなのに、「治ったと思わない方がいい」なんて言われたら…
私はその言葉に対して、大声で、「そんなの分かってる。一生治ることなんてないんだよ。ずっとこのまんまなんだよ!!みんなにゆっくりしろって言われてこれまでゆっくりしてきたけど、少しずつ落ち着いてきて、私も少しずつ体を慣らしたいんだよ。ゆっくりって言われることは、もうウンザリナンダよ!私だってこれ以上悪くなりたくないんだから、体のことを色々考えながらやってるんだよ!!なにも考えてない訳じゃないじゃないか!!」と、吐き捨てた。
でも、あとで一人になったとき、私は考えた。
体のことを考えながら、徐々にやっているつもりではあるが、結局は分からないことだらけだ。なぜ紫外線が肌の湿疹を誘発するのかも、なぜすぐに疲れてしまうのかも、何をしたら体に悪影響なのかも、なぜ熱が出るのかも、何をしたら熱が出るのかも、なぜ病気になってしまったのかも、これからどうしていけば良いのかも…。結局はこれっぽっちも分かっていない。自分の事なのに、自分の体なのに、自分自身のことなのに、難しすぎるんだ。
結局、私は山奥に遊びに行った。久しぶりに訪ねて友人にも会えてとてもいい時間だった。滞在中は体が冷えないように気を使った。紫外線も浴びすぎないように気を使った。疲れが出る前に休むようにした。色々な制限がある中でも、少しはやりたいこともできた。そしてまた、家に帰った。
しかし、家に帰ると激しい頭痛に襲われた。頼まれていた仕事があったが中々手に着かない。
少し横になって、出きることだけをやって寝ることにした。少し疲れが出たんだ、そう思いたかった。
次の朝、寒気がして早朝に目が覚めた。熱を測ると微熱がある。お風呂に入って体を温めたらまた少し眠れた。結局この日は一日中横になっていた。その間熱は上がり下がりを繰り返した。微熱だけだと信じたかったが、最高で38℃後半まで上がった。
「行くなと言ったのに、やっぱり熱がでたじゃないか」そんなことを言われるのは目に見えていたので、私は言い出せなかった。
あぁ、やっぱり私には全然体のことが分からない。
次の通院は、薬が切れるか切れないかという大事な日だ。その直前にこれだ。絶望だ。
私は、心の何処かで、病気だということを信じないでた部分があった。でも、こうやって発熱があると、やっぱり病気なんだと現実を知らされる。
何処かでしっかりと受け入れなければ一生このままな気がする。
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今日はやっと熱の上がりが落ち着いてきた。
もう数日は横になっていよう。今回は前回と違ってお腹の調子も悪くないし、排便もちゃんとある。ただ、疲れが出たんだと思う。
無理はしてはいけない。
次の通院が怖い。
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