数学でやたら「〇〇性」が出てくる理由
とりわけ「線形性」ってよくわかんないと思いませんか皆さん。
大学初年生向けの本に当たると「要はベクトルのことだよ」と必ずあるけれど、それならずっとベクトル性とか言えばええやんと思ったりしてね。
長年のこの謎を解くために chatGPT を問いただしてみました。
ダフィ・ヒルベルトね。
1904年といえば、積分方程式の研究で成果を上げていた頃ですか。
「Grundzüge einer allgemeinen Theorie der linearen Integralgleichungen」(線形積分方程式の一般理論の概要)について問いただしてみました。
「線形空間」「線形演算子」「ノルム」「双対空間」をヒルベルトが導入…それっぽい。
検索してみたらウィキペディアに「線形代数」という名称を最初に提唱したのはトルコの数学者とありました。
ウィキペディアとは違う見解のようです。問い詰めてみると…
シルベスター? それは後世になって、彼に因んで何か定理に名前をつけたような。
この文は検索しても出てきませんでした。
閲覧できず。
現代において(!)行列と呼ばれるものの先駆的研究を行ったひとなので、線型性の研究の先駆者とはいえると思うのですが「線形代数」ということばを当時の数学者が果たして着想できたかどうか。
「ベクトル」について現代の私たちはこういうのを思い浮かべたり、
こういうのを思い浮かべたりするわけですが、
もともとはもっと代数的な概念でした。出自があの4元数ですからね。神童ハミルトンを闇に誘い込んで破滅させた、あの4元数。グラスマンがなんとか代数的体系にあれを整えるために vector と提唱したのが始まりです。ガウスも音を上げたという、あのグラスマン代数。半世紀後に数学者ペアノによって整えられた際にも、前者のものはやはり代数的な匂いが色濃くてわかりにくいものでした。
上のように矢印のイメージを提唱したのは、数学ではなく物理学の俊英でした。ギブス。あのマクスウェルにも一目置かせた、アメリカの無名大学の孤高の天才。
同じ時代に、行列と微積に橋が架かるのではないかと研究を進めていたのが、ドイツのヒルベルトでした。スウェーデンだったかなフレドホルムによる積分方程式の解法に刺激されて、やがて行列と積分を同一地平で語るために「作用素」の概念を提唱。おそらく「線形性」もこのとき提唱したものです。
浦沢なにがしというまんが家さんの作品に「ビリーバット」というのがあったと思います。同名のキャラクターが、まるで手塚の火の鳥のように、日本とアメリカのいろいろな時代のコミックスに現われ消えていくというお話でした。
現代の大学で習う数学には、このビリーバットにあたるものがいろいろあるわけです。「〇〇〇性」とあるのがそれです。