「物理学は物理学者には難しすぎる」(ダフィ・ヒルベルト)
以下はメモ的なものです。
ポール・ディラックが δ関数を導入したことで量子力学黎明期における難問を解決してみせたという話は、どの入門書にもあるけれど、その説明の仕方に前から不満でした。歴史的にはこれの導入よりもっと後になって編み出された数学的解釈が、入門書ではどういうわけか δ関数の解説といっしょに紹介されるのです。
なにかトートロジー的で、ウロボロスの蛇みたいな不可解さがどうしても拭えない。
20世紀数学史を知っていると、この謎がうまく説明できます。しかし物理学者はそういう説明をするのを嫌がるようですね。
この困難をスマートにすり抜けてみせる、両刀使い的な入門書をいつか書き下ろしてみたいです。