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十代の私に教えてあげる「固有値」

「固有値」「固有ベクトル」という二つの名称は、私にとってとても思い出深いものです。

某大入試過去問をひとりで研究していたとき、この二つを活かした解き方を知って、それをマスターしたところ、難問がすらすら解けてしまうのです。その後、大学数学を根性で独習していって、この二つが量子力学を語るにあたって欠かせないものだと知って、入試過去問を研究していた日々を思い出しました。

しかし誰がこの便利なものを見つけだしたのだろう、誰が名付けたのだろう。どの本もそのあたりのことは曖昧でした。検索してもはっきりしないし。それで chatGPT に質問攻撃をしかけまくって、とんちんかんな回答を繰り返されるのに苦笑と苛立ちを募らせながら、そこからある輪郭を見て取って、英語版ウィキペディアを探りながら、どうやら正解とおぼしいものにたどり着きました。

「固有値」はダフィ・ヒルベルトが名付けたものです。フレードホルムによる積分方程式の解法を、彼が独自のやり方で大躍進させる際に提唱し、名付けたものでした。「固有ベクトル」もです。chatGPT によると1904年発表の論文 "Grundzüge einer allgemeinen Theorie der linearen Integralgleichungen"(線形積分方程式の一般理論の概要)が初出だそうです。ほかの文献と突き合わせてみるに、これはどうやらそう大外れではなさそうですね。

これとは違いますが「コンパクト性」(2024年6月8日追記: 正しくはコンパクト集合。これをコンパクト性という抽象概念として抽出したのはハウスドルフの1914年の著作)を提唱したのはモーリス・フレシェ。"Sur quelques points du calcul fonctionnel"(関数解析のいくつかの問題点について)という学位論文においてでした。1906年。出典はこちら。集合に距離を定義したのもこの論文で、後にハウスドルフが「距離空間」と名付けるものです。後日の研究メモ用に書き残しておきますね。

こちらがフレシェ。

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