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障がい者雇用ではサポートする人をサポートする仕組みがまだまだ整ってないんじゃあないですかね?

近年、障がい者雇用の推進が企業に求められています。
しかし、多くの企業が「適した業務の選定」に苦慮しているのが現状です。厚生労働省の「平成30年度障害者雇用実態調査」によると、企業が障がい者雇用を進める上での課題として「障がい者に適した職務がない」と感じる割合が高いことが明らかになっています。
これは、企業の業務が専門性の高いものやチームワークを重視するものが多く、障がいの特性に適した仕事を見つけるのが難しいことを示しています。

では、どのようにすれば企業は障がい者が活躍できる職場を作ることができるのでしょうか。

本記事では、業務選定のポイントや具体的なアプローチについて考えてみます。


企業が直面する課題

障がい者雇用を推進するにあたり、企業が最も頭を悩ませるのが「どの業務を担当してもらうか」という点です。障がい者の能力や特性は一人ひとり異なり、企業が求める業務内容と必ずしも一致するわけではありません。
また、業務を細分化し、障がい者が取り組みやすい形に再構築するには、時間やコストがかかるため、実行に踏み切れない企業も多いのが実情です。さらに、「障がい者雇用のノウハウがない」という問題もあります。

「社会のために障がいを持つ方を雇用したい…だけど…」
…と悩んでらっしゃる企業の方のお話をよく聞きます。

だからこそ、企業が障がい者の強みを理解し、適切な業務を用意するためには、専門的な知識や支援体制が必要となるのです。

業務の切り出しと環境整備

企業が障がい者に適した業務を選定するためには、「業務の切り出し」が有効なアプローチの一つです。パーソル総合研究所の調査では、「企業の受入準備支援」が障がい者雇用を成功させるために欠かせない要素であると指摘されています。
この「受入準備支援」には、業務の適切な選定だけでなく、作業環境の整備も含まれます。たとえば、事務職ではデータ入力や書類整理といった定型業務を切り出し、視覚的なサポートを加えることで、障がい者が働きやすい環境を作ることができます。
また、作業手順を簡素化し、わかりやすいマニュアルを用意することも、スムーズな業務遂行につながります。
でもこの手立てを上手にサポートする人も方法も整備されていないのが事実。
「サポートする人をサポートする人がいない」って状態でしょうね。

障がい特性に応じた業務選定のポイント

障がいの種類によって、向いている業務や必要な配慮は異なります。障がい者職業総合センターの研究によると、精神障がいや発達障がいのある人には、個々の特性を考慮した業務設計が必要であるとされています。
たとえば、発達障がいのある人はルーチンワークを得意とする傾向があるため、データ入力やIT関連の作業が適していることが多いです。
一方で、精神障がいのある人には、ストレスの少ない業務や柔軟な勤務形態を提供することが重要です。
個々の特性を理解し、業務とのマッチングを図ることで、障がい者が安心して働ける環境を整えることができます。

でもやっぱり目に見えない障がいだからこそ、企業は敬遠してしまうのも事実。
「車いすなら…足が悪いんだな→なら社内をバリアフリーにしよう」
…と身体機能の障がいに対しては支援のイメージが湧きやすいですからね。

これが目に見えない障がい支援の難しさかもしれません。

具体的な業務例

障がい者雇用において、多くの企業で導入されている業務には以下のようなものがあります。

  • 事務・事務補助(データ入力、書類管理など)

  • 清掃業務(オフィスや施設の清掃)

  • 軽作業(商品の仕分け、梱包など)

  • IT関連業務(プログラミング、デバッグ作業など)

  • 農業関連業務(植物の管理や収穫作業)

これらの業務は、比較的負担が少なく、障がいの特性に合わせて調整しやすいため、導入しやすいとされています。企業は、既存業務の中から適した作業を切り出し、障がい者に合わせたアレンジを加えることで、よりスムーズな雇用を実現できます。

では、このアレンジは誰がするの?
大企業なら支援員を別に雇うこともできます。
でも日本の企業のほとんどは中小企業。
支援員を雇うまでの体力はないんです。

段階的な業務拡大のアプローチ

障がい者が職場で長期的に活躍するためには、最初は単純な業務から始め、徐々に業務の幅を広げていく方法が有効です。例えば、事務補助の仕事では、最初はデータ入力のみを担当し、慣れてきたらスケジュール管理や問い合わせ対応など、少し複雑な業務に挑戦してもらうというステップアップの仕組みを取り入れることができます。このように、無理なく業務の範囲を広げていくことで、障がい者の自信と能力を育むことができます。

企業側も、適切なサポートを行いながら、段階的に業務を増やすことで、障がい者の定着率を高めることができるでしょう。
もちろんそのためには企業側に対するサポート体制も必要になってきます。

まとめ

障がい者雇用における業務選定は、多くの企業にとって大きな課題です。もちろん適切なアプローチを取ることで、障がい者が活躍できる環境を整えることはできます。業務の切り出しや環境整備を行い、障がい特性に応じた業務を選定など、いくらでも方法はあります。
問題は、その手立てをする人も制度も仕組みもまだまだ未整備ということ。これは特に中小企業においては顕著といえます。

この問題は、作業療法士こそ解決できると思うんですよね。
ちょっと就労支援のケースを通して直面している問題なんです。

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