【韓国論文】教材ごとに説明内容が異なる-는
1.どの教材を選ぶか
韓国語を勉強する時、使う教材によってどんな違いがあるのか気にしてみたことはありますか。
今回は、教材ごとに説明が異なる-는の表現をどのように統一したら、学習者の混乱を防げるのかを調査した論文を共有します。
共有する論文:マエムラ カズアキ「韓国語教育での冠形詞形の語尾 ‘-는’の意味範囲」
2.問題点とその修正するべき方向
この論文は、韓国語教材が「-는」の意味範囲に統一的説明を示せていないことを指摘し、各動詞部類ごとの意味範囲を設定したあと、「-는」が属する範囲を決定することが目的です。
韓国語の「-는」は、体言修飾の機能とともに、元々持っている抽象的意味や実際の状況で出てくる脈絡的意味を表します。
そのため、脈絡的、抽象的意味は、特定の範囲の中で適切な意味を設定しなければなりません。
論文の筆者の問題意識は、韓国語教材が提示する「-는」の説明の曖昧さにあります。
「-는」が属する範囲の中で意味を説明できなければ、現実世界に散らばっている意味を学習者に提示してしまう問題があり、ある程度の統一した説明をしづらくなってしまうとしています。
しかしながら、先行研究では冠形詞形語尾を言語学、教育学の観点で論じられているものの、「-는」の意味とその範囲を体系的に説明できていません。
韓国語教材の狙いのひとつに、コミュニケーション活動の提供があります。論文は、以下の代表的韓国語教材を分析して、意味説明の不足した点を調べました。
分析の結果、「-는」を現在の時制を表すとする説明と動作が進行していることを表すとする2つの説明が見られました。
しかしながら、慶熙大の教材を除き、この2つのうちのどちらかのみの説明にとどまっており、韓国語教材として統一された説明がされていないことが明らかになりました。
論文は、各動詞部類ごとの意味範囲を設定するために、www.jw.orgに記載されている 「깨어라!」の記事から関係冠形詞を集め、「動詞+-는」の構造に注目しました。
また、話者が主観的に「-는」を使うことを最小化させるために、文語の言葉遣いの資料を利用しました。
そして、動詞の部類を ➀時発性②瞬間性③結果性④接近性の4つに設定し、分析を行いました。
最後に、筆者は結論として、以下のように主張します。
3.学習者が最初に出会う説明はシンプルかつ的確に
論文で分析に使われた教材は、韓国の語学堂でも使用される大手の教材です。
実際に勉強する時に使う時は、あまり違う教材を並行して使わないと思いますが、同じ文法の説明にもかかわらず教材ごとにその説明内容が異なることが分かりました。
学習者の立場で考えると、先生ごとに言っていることが違うというような状況なので、混乱が起きる可能性があると思います。
論文の筆者は、現在の時制の範囲で使うことに統一させるべきだと主張しました。
私もこのように説明を曖昧にしないで、統一させることに賛成です。
学習者は、習った文法をとりあえずでも使えるようにすることを目標としています。
もちろん、言語学や教育学などの学術的観点から見れば、複雑なものとして捉えられると思います。
でも、学習者は学者を目指しているわけではないので、説明はシンプルで分かりやすさを優先するのがいいと思います。
勉強していくと、文法説明を理解したから使えるというよりは、使えるようになってから文法説明を理解できるようになるし説明に無い複雑な部分も見えてくると実感しています。
教材は学習者の学習の効率性を助ける物です。
混乱を極力避けて、まず覚えるべきものが提示される教材が理想的ではないでしょうか。
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論文
マエムラ カズアキ「韓国語教育での冠形詞形の語尾 ‘-는’の意味範囲」『学習者中心教科教育研究』19巻7号、学習者中心教科教育学学会、pp.831-849
마에무라 카즈아키「한국어 교육에서의 관형사형 어미 ‘-는’의 의미 범주」『학습자중심교과교육연구』19권 7호,학습자중심교과교육학회, pp.831~849
同様に教材分析を行った論文の紹介はこちら↓
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