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小テストをするほど成績は良くなる

小テストをするほどテストの点数が良くなるっていう論文があったのでメモ(1)。

これまでの研究を見てみると,学習の仕方や身を置く環境によって学習の効率が変化することが分かっています。具体的な研究の例を挙げると以下の通りです。

・勉強の間に昼寝をすると記憶に定着する(2
・想像は記憶を増強する(3
・学習とテストの間隔を空けると記憶に定着する(分散学習,4
・紙とペンを使った方が記憶に定着する(5

今回紹介する論文は小テストの回数を増やすことで記憶の定着率が高まることを教えてくれます。

1939年にアイオワ州立大学のヘルベルト・スピッツァーらが小テストの回数によって学習の効率が変わるのかについて調べるために実験を行いました。

実験の対象となったのは小学6年生3,605名でした。

実験参加者はランダムに8つのグループに分けられ,ピーナッツと竹に関する記事を読んでもらいました。その8つのグループは小テストを受ける間隔に違いがありました。

<グループ1>
記事を読んだ直後、1日、21日後にテストを受ける

<グループ2>
記事を読んだ1日、7日、63日後にテストを受ける

<グループ3>
記事を読んだ1日、14日後にテストを受ける

<グループ4>
記事を読んだ7日、21日後にテストを受ける

<グループ5>
記事を読んだ14日、28日後にテストを受ける

<グループ6>
記事を読んだ21日、63日後にテストを受ける

<グループ7>
記事を読んだ28日後にテストを受ける

<グループ8>
記事を読んだ63日後にテストを受ける

そして最初の記事を読んだ日から63日後に再度5個の選択肢の中から答えを選ぶ25問のテストを受けてもらいました。

実験の結果,1週間以内に1回目の小テストを受けた場合の最終テストの正解率は約50%になった反面,1回目の小テストを1週間後に受けたグループは正解率が約30%になりました。

学習の間隔を空けることで記憶の定着率が上がることが過去の研究から分かっています。具体的な研究の例を挙げると以下のような結果が報告されています。

・学習とテストの間隔を空くと,記憶の定着を促進する(分散学習,6
・復習は最初の学習日と最終テストの予定の日の間の日数を5分割したタイミングですると効率が良くなる(7

しかし今回の実験の結果はその分散学習の効果はただ単純に学習と小テストとの間を空ければよいというわけではなくいことを示しています。

(1)OSpitzer, H. F. (1939). Studies in retention. Journal of Educational Psychology, 30(9), 641–656.

(2)Igloi, K., Gaggioni, G., Sterpenich, V., & Schwartz, S. (2015). A nap to recap or how reward regulates hippocampal-prefrontal memory networks during daytime sleep in humans. Elife, 4, e07903.

(3)Bower, G. (1972). Mental imaginary and associative learning. New York, John Wiley, 51-88.

(4)Rohrer, D., Taylor, K., Pashler, H., Wixted, J. T., & Cepeda, N. J. (2005). The Effect of Overlearning on Long-Term Retention. Applied Cognitive Psychology, 19(3), 361–374.

(5)Mueller, P. A., & Oppenheimer, D. M. (2014). The pen is mightier than the keyboard: Advantages of longhand over laptop note taking. Psychological science, 25(6), 1159-1168.

(6)Kerpicke, J., et al. (2008). The critical importance of retrieval for learning. Science, 319, 966-968.

(7)Cepeda, N. J., Vul, E., Rohrer, D., Wixted, J. T., & Pashler, H. (2008). Spacing effects in learning: a temporal ridgeline of optimal retention. Psychological science, 19(11), 1095–1102.

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