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速いBGMは顧客の回転率を上げる
店内で流れるBGMによって顧客の店内の滞在時間が変わるという趣旨の論文を読んだのでメモ(1)。
私たちは商品を買う時に商品の特徴を吟味して購入しているにもかかわらず,検討すべき商品の要素以外の部分からの影響を多大に受け,購入の意思決定をしています。具体的な例は以下の通りです。
・左よりも右に位置する商品の方が魅力的に見える(右重要バイアス,2)
・丸い物体は尖った角がある物体よりも好まれる(3)
・BGMの音が大きいと店内の滞在時間は少なくなるが,購入額が多くなる(4)
今回紹介する論文の実験の舞台はレストランで,BGMが客の店の滞在時間や注文にどう影響を与えるのかを調べています。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/74664865/picture_pc_3da4bf20c271ccddef235d67fb15b512.jpg?width=1200)
1986年にウェスタン・ケンタッキー大学のロランド・ミリマンがレストランのBGMの種類によって客の摂食量や店内の滞在時間が変わるのかを調べるために実験を行いました。
実験の対象になったのは16週間の実験期間にレストランに訪れた客でした。この実験期間の間に2つのパターンのBGMを店内で流しました。2つのパターンは以下の通りです。
<パターン1>
遅いテンポの音楽を流す
<パターン2>
速いテンポの音楽を流す
この店内で流れたBGMは実験期間の開始前に店内でBGMを流し,実際に食事をしている客に「現在店内でかかっているBGMはテンポが速いですか,遅いですか,それともどちらでもないですか?」と尋ね,テンポが遅い・速いBGMが選定されています。
さて,レストラン店内で流れるBGMで客の注文などの行動は変わったりするのでしょうか?
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/74665654/picture_pc_bc978c20a2260977d444f5e9db883547.jpg?width=1200)
実験の結果,遅いテンポのBGMを流した実験期間の客の店内の滞在時間が速いテンポのBGMを流した実験期間の売ものと比較して長くなった。
また,遅いテンポのBGMでレストラン店内の滞在時間が長くなったためか,速いテンポのBGMが流れていた場合よりも店に到着してから席に着くまでの時間が長かった。
客の摂食行動に関しては,メインとなる料理はBGMの店舗によって変化はなかった。しかし,飲み物の注文に関してはBGMが速い場合と比べてBGMのテンポが遅い場合に多かった。
要約すると,遅いテンポのBGMは速いBGMよりも客の滞在時間を長くし(5),飲み物の注文数を多くすることがわかりました。しかし,メインとなる料理の注文数には違いがありませんでした。
この結果から客の回転率を上げることで売り上げを高めている店では,テンポの速いBGMをかけることで客の入れ替わりを早めることができるといえるでしょう。
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(1)Milliman, R. E. (1986). The influence of background music on the behavior of restaurant patrons. Journal of consumer research, 13(2), 286-289.
(2)Nisbett, R. E., & Wilson, T. D. (1977). Telling more than we can know: Verbal reports on mental processes. Psychological Review, 84(3), 231–259.
(3)Bar, M., & Neta, M. (2006). Humans prefer curved visual objects. Psychological science, 17(8), 645–648.
(4)Smith, P.C., & Curnow, R. (1966). Arousal hypothesis and the effects of music on purchasing behavior. The Journal of applied psychology, 50 3, 255-6.
(5)Milliaman, R, E. (1982). Using Background Music effect to the Behavior of Supermarket Shoppers. Journal of Marketing, 46, 86-91.
■「欲しい! 」はこうしてつくられる 脳科学者とマーケターが教える「買い物」の心理/マット・ジョンソン (著), プリンス・ギューマン (著), 花塚 恵 (翻訳)
■♯HOOKED 消費者心理学者が解き明かす「つい、買ってしまった。」の裏にあるマーケティングの技術 (T's BUSINESS DESIGN)/パトリック・ファーガン (著), Patrick Fagan (著), 上原 裕美子 (翻訳)
■良い戦略、悪い戦略/リチャード・P・ルメルト (著), 村井 章子 (翻訳)
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