美味すぎて涙が出た話。
卒業式、映画、小説、ライブ、、、
感動して鳥肌が立つ事は稀にある。
が、涙が出たことは無い。
玉ねぎや辛子、ワサビなどの物理的な刺激ではよく泣いているが、感動の涙を流した事は後にも先にもあの日だけだ。
何故あんなに感動できたんだろうか。
あれを超える美味しいものには
もう出会えないのだろうか。。。。?
時は、高校2年生の初夏の土曜日。
土曜日は午前授業で、昼は友達と美味しい物を食べに行くのが定番になっていた。
その日は大好きなお寿司屋さんのランチに。
海鮮丼やちらし寿司、カレーや焼肉丼、魚のサンドイッチなどなど、2週に1回くらいのペースでメニューを更新する、風変わりなお店だ。
授業が終わってダッシュで向かって、ランチ時間ギリギリに到着。
古民家を改造したそのお店は、エナメルバッグを持った高校生が行くには敷居の高い洒落っぷり。
顔馴染みの店主と店員さんと少し会話をして、
キンキンに冷えた水を、個人作家さんのコップで飲む。
予約した丼と味噌汁、漬物がくる。
この時の高揚感は何物にも代えがたい。
【本マグロとヒラマサの炙り漬け丼】
・マグロの程よい脂のノリと、旨味の強さ。
・ヒラマサの炙りの絶妙加減、皮目の美味さ。
・酢飯、ワカメ、ガリ、かぼちゃ、玉ねぎ、の主役をも食らう美味さ。
・炊きたてだからってオマケにくれたかんぴょうも美味しかった。
極太の切り干し大根漬物とトマト、豆のバランスの良さ。
牛出汁の味噌汁もひたすら美味かった。
・美味しい物の良い所は幸せになる事。
・美味しい物の悪い所は目に見えて減る事
食べたら無くなっちゃうけど、食べずにはいられないという感情を持ちながら
大切に、美味しく食べていく。
それまでも色々と食べ歩いたり、料理したりとしていたが、この日の感動はいつもとは違かった。
鳥肌が立ち、涙腺が緩んだ。
美味すぎて泣いてしまった。
その涙は一緒に飯を食べていた友人には気づかれないように何とかしたけど、感動の涙だった。
美味しすぎて涙が出た。
そんな事は後にも先にも無い。
その数ヵ月後から、高校卒業まで、このお店で手伝いをさせてもらったのは、とても大切な経験だ。
あの感動の要因はなんだったのか、なんとなく理解したが再現する事は多分無理だろう。
味だけでなく、雰囲気、サービス、気持ち、経験、空腹、友、、、
様々な物が重なり合って、感動は生まれるのだろう。
あの日からそろそろ5年。
料理で涙が出るほどの感動は未だ無いが、追い続けている。
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