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憧れは遠くにあるからこそ尊い

前回の記事でも触れたが、最近ネットフリックスで見始めた「エミリー、パリへ行く」もちろん皆さんご存知でしょう。アメリカの会社から、上司の代わりにパリへ渡った女性が、恋に仕事に友情に、憧れの都で奮闘する様を描いたドラマのようです。

文化も仕事のやり方も違う国で、機転を利かせて明るくハッピーライフ!よくありがちなサクセスストーリー。アメリカ人が好きそうなヤツやん.....いや、違う。違わないのだけれど、このドラマの重要な「仕掛け」として、主人公エミリーが持つ武器が「Instagram」となっていること。企業における商品の販売促進を、SNSを使って彼女自らがインフルエンサーとなり広報していくというところに着目させている。

やっぱりここが面白い

結論からいうと面白い。まず、国内のドラマと大きく異なる点がある。それは脚本なのかカメラワークなのか上手く言い表せないが、どこか近すぎない距離感にあると感じた。それは物理的な距離感ではなく、主人公に自らを投影させるようなシンクロ感でもない。遠くから見守ってあげるような、生活をのぞき見しているかのような、例えるならば

友達の旅行話を聞いているようだ

絶妙な距離感にあると思った。主人公の内面を掘り下げ過ぎない、サブキャスト達を立たせ過ぎない、恋愛にのめり込み過ぎない、仕事も、食事も、友人関係も、適度な適度なスタンスを守っているように見える。「えーっ!これからどうなるの!??」といったようなドキドキ・ハラハラする感じとは違って、もう、まるで自分がエミリーの友人であるかのように「おいおい、大丈夫かよwそれで、どうするん??」って、ニヤニヤしながら聞いてあげているような面白さ。その舞台が芸術の都パリから届けられているのだ。まったく遠すぎて現実感のかけらもないから面白い。

文化の違いを楽しむ

アメリカとフランスでの文化の違い、お高く留まっているおフランスのパリジェンヌ様たちは、アメリカから来たセンスのかけらもない田舎娘など相手にしないご様子。アメリカのルールとモラルを盾に、独り戦う原色米国服飾インフルエンサーのぶつかり合い。フランス側から見るかアメリカ側から見るかによって、ストーリの捉え方が異なるという面白さ。JAPANな私の楽しみ方としては「異世界転生?SNSを使ってパリ無双のススメ」くらいの気持ちで見ているので、ルールにルーズで、情熱に正直な異世界の住人達の行動すべてが微笑ましく感じてしまう。

心奪われる魅力的な人物

登場人物の中でも特に気になるのが
シルヴィーである。

彼女は主人公エミリーの上司役。
パリのやり方と、アメリカのやり方で
常にぶつかるという、ドラマでのキーパーソン。

画面に登場した時にすぐに目を奪われた。
滅茶苦茶タイプである。

ナチュラルに見えるメイク、アンニュイな前髪、タバコを吸う仕草、洗練されたファッション、立ち姿まで完璧。年齢は幾つくらいなのだろうか?大人の女性だ。すごく素敵に見える。彼女のこれまでの経歴や、普段の生活、スタンスや考え方など、まだ前半では描かれていないことが多い。だが、それがいい。とにかくエミリーはさておき、パリの街並みとシルヴィーを見るだけでも価値のあるドラマだ。

日本でドラマを作っても、こういった役は絶対に表現できない。日本で「嫌な上司役」となれば、何十年も変わらず続けてきた伝統芸のように同じタイプの人物になってしまう。誰が演じても同じことにしかならないのは、演者が悪いのではなく監督や脚本、そして視聴者が”わかりやすい表現”を求めているからなのかもしれないが。

いいね!パリ

夫婦で見始めたドラマの総評が「いいね!パリ」なんだから、全く平和な時間だったと思う。こうして二人でドラマや映画を見るのは好きだ。隣から「ねぇ、これなんで?」「これ誰だっけ?」「どういう意味?」とか聞かれるのも慣れた。最近では先回りして、私の方からタイミングを見計らって見解を説明する。すると隣で「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪」と大人しくしてくれるのだ。そして見終わったあとで。お互いの感じたことなどを話したりする。「私はあの時○○だと思った」という感想が、全く私の予想もしていない考え方だったりするから余計に面白い。

まだ終わらない

実はこのドラマはまだ全部見終わっていない。VODの良いところは、配信されているエピソード数が表記されていて、始まりと終わりがハッキリと分るところにある。つまり、楽しめるコンテンツに出会えた場合に、一気にパクっと消費してしまうか、わざと焦らしながらモグモグするかを選択できる点が優れている。

ちなみに妻は「美味しいものは美味しいうちに!」というタイプ。私は「美味しいものは少しづつ長く楽しむ」というタイプ。このドラマは1話がたしか30分前後しかないのでサクサクと見れてしまう。早く消化してしまわないように、じっくりと焦らしながら見ていくことにしよう。あまり一気に与えてしまうと、次シーズンが待ち遠しくて「私も、パリに行く!」と妻が言いかねないからだ。まてまて、落ち着いて、冷静になれと。確かに君はパリの街並みにふさわしい素敵な女性であるといえよう。しかし私はまだ、シルヴィーに釣り合うような大人の男になれていない。あぁ、不甲斐ない旦那を許しておくれ。

機会があればまたエミリーの話を。




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