令和6年10月9日(水)のあたりさわりないエッセイ日記
今年も10月1日から31日まで毎日エッセイ日記を書くことにしました。
本日のテーマ
極端に忙しいときと極端にヒマな時に限って調剤過誤が起きる
上記のテーマですが、言い換えると
◎◎極端に忙しくて気が張っているときに、信じられないぐらいうっかりミスをする。
◎◎極端にヒマな時に限って、気が緩みすぎて、信じられないぐらいうっかりミスをする。
薬剤師がミスをするといったらもう調剤ミスしかないが、服薬する患者にとっては冗談ですまない。だから監査というものがある。調剤した人と、調剤していない人が別々に処方箋をチェックする。ついでにモノによっては監査済みの薬をさらに二重監査といって、厳重にやる。
ここまでやっても、ミスは、すり抜けるときはすり抜ける。処方監査時に、服薬指導記録をPC上で閲覧するがまずやるのが処方監査だ。そこで処方箋入力した医療事務さんが、1行だけ見落として薬品をスルーしているときもある。
ある医師は8行ぐらいの医薬品を処方箋に書いたが(今はPCで入力)、なぜか、ある種類の薬のフォント(文字の大きさ)が極端に小さく、危ないなと思ったら案の定ぬけがあったりする。なんにせよ、お互いのやってることを信用せず、チェックを重ねる。
これは単なる間違い探しのゲームじゃない。患者の健康と命がかかっている。
今は錠剤分包機なるものがある。パソコンに入力したら自動的に一包化してくれる便利な機械だ。でも、操作をするのは生身の人間。
包むべきでない錠剤やカプセルは、取り除いたり、液剤や散薬湿布なども別に用意しないといけない。揃えた薬をさらにチェックするのが監査者。
ある時めちゃくちゃ忙しいときに、錠剤分包機の指示時に朝夕逆にしてしまい、それを監査者が見逃して患者に行ってしまったときがあった。幸いといってはアレだが、自己管理できない認知症の施設入所者だったので、職員が気づいた。服薬寸前で、この色の薬を飲むのは寝る前のはず、朝食後じゃないと……。あぶない……。
この薬はミスをするといけないので、必ず二重監査をすべきだったのだが、その日は連休前の金曜日の夕方で特に忙しく、二重監査をせずにそのまま通してしまったらしい。でも多忙だったという言い訳は外部には通用しない。お互い様なので糾弾はしないが、こういう事故が起こっても不思議ではない(インシデントという)場合は本支店全員に閲覧できるように報告書を提出しないといけない。
薬局外に対しては管理薬剤師兼薬局長が謝罪に行く。もし相手が外来患者であり、健康被害が起きた場合は責任を負わないといけないので、社長も謝罪についていく。
死亡事故の場合は弁護士も……幸いそこまでの経験をしたことはないが。
調剤ミスにより死亡事故を起こしたときに、個人経営で一人薬剤師だった薬局は閉店までされた。業界紙の取材ではあったが顔出しとインタビューに応じておられた。今後こういうことのないように応じられたのだろうと胸が痛んだ。年配の女性で一人薬剤師として黙々と業務に励んでおられただろうに。明日は我が身。
逆に大手が調剤ミスによる死亡事故を、なかったことにしようとしたらしく、悪質だと遺族が怒ってマスコミに公表し裁判になったところもある。そこ、一時株価がさがっていたなあ……何事かが起これば、迅速かつ誠実に動くのが一番でしょう。
上記は二か所ともニュースになったので、どういう事件であったのか知っておられる方も多いと思うが、調剤は大手だから大丈夫とは限らない。おかしいと思ったら患者もその家族も無駄足や遠慮は気にせず、まずは疑問の連絡をしてほしいと思う。そして対応する薬局は誠実に。
極度の緊張も、極度の緩みも調剤と監査の敵です。わたしも調剤過誤のニュースを聞くたびに、背筋をただしています。誰しも好きで間違いを起こさないけれど、もしものことがあれば、それは他人事ではない。
わたしが嫌うYみたいな隠蔽気質な薬剤師もいるにはいるかもしれないが、Yは自滅して退職していったし、間違ったことをしていればいつしか露見すると思っている。
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本日の作品紹介(大昔のもの)