秋の空時計　（バレエショートショート）

藍は夢の中の舞台でシンデレラを踊る。だが12時直前の大時計の背景が青空。いわし雲もたくさん浮かんでいるしこれは大道具のミス？

藍は踊れたらそれでよかった。別に王妃にならなくても幸せ。

時計が昼の１２時を告げた。設定どおり逃げる藍を王子が追いかけてきた。魔法が溶けてボロボロになった衣装でもって、かぼちゃの前で藍たちはまだ踊る。ところが、いわしが焼けるにおいがしてきた。魔女がねずみの給仕を引き連れ長皿に焼いたいわしと大盛のご飯と大根おろしとお醤油を持ってきた。
「秋空の海はいわしで大漁だったわ。さあ、食べましょ」

イワシご飯をほおばる王子に藍は興ざめする。せっかくの舞台なのに食欲に負けるなんて！　藍の心変わりを察知した王子が口にご飯粒をつけながら追いかけてくる。

だめよ。あなたは踊りよりも食欲をとったのだから、踊ってあげない。嫌いになった王子をフェッテで蹴飛ばして藍は踊り続ける。客席からブラーヴァという声が飛んできた。やったね。

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たらはかにさまの企画に参加しています。
今週のお題は「秋の空時計」　です。
最初から夢オチにしときました。

発表会動画ですが、時計の精たちがかわいらしかったのでUPします。ボロ衣装を着た変身前のシンデレラと、魔法の説明をする魔女です。1分半弱。