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読書ノート 「東洋哲学覚書 意識の形而上学 『大乗起信論』の哲学」② 井筒俊彦


目次

第一部 存在論的視座
Ⅰ 序
Ⅱ 双面的思惟形態
Ⅲ 「真如」という仮名
Ⅳ  言語的意味分節・存在分節
Ⅴ 「真如」の二重構造

第二部 存在論から意識論へ 
Ⅵ 唯「心」論的存在論
Ⅶ 「意識」(=「心」)の間文化的意味論性
Ⅷ 「心真如」・「心生滅」
Ⅸ 現象顕現的境位における「真如」と「心」
Ⅹ 現象的世界の存在論的価値づけ
Ⅺ 「空」と「不空」
Ⅻ 「アラヤ識」

第三部 実存意識機能の内的メカニズム
XIII 「覚」と「不覚」
XIV 「不覚」の構造
ⅩⅤ 「始覚」と「本覚」
ⅩⅥ 「熏習」的メカニズム
ⅩⅦ 倫理学的結語


 「意識の形而上学」を読む。構造的な思考が好きな方は、この第二部は興味深く思うであろう。「一心」「真如」「アラヤ識」はフロイト=ラカンの無意識の構造に近く、更にいうとプロティノスらギリシア神秘主義の「一者」、イブン・アラビーにおけるイスラム神秘主義の「存在(ウジュード)」と類似する、東洋思想の根幹なのである。そして中間領域である「アラヤ識」の構造分析は、言語構造との相似をかすめながら、存在の本質(差異のみが存在する)と言語の創造過程を我々に突きつけてくるのだ。


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