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「仕事に上昇志向は必要か?」は前提が間違っている話

先日アメーバTVで『仕事に上昇志向は必要か?』というテーマが取り上げられていたのですが、人材定着に悩む企業ほど、このテーマを取り巻く現実を本気で調べてみることが必要だと思います。


と言いうのも、最近気付いたことがありまして、やたら若者が辞める企業は「正しいビジネス哲学」で人を動かそうとする傾向があるなと


極端に言うと「労働契約を結んでいるのだから、社員は時間いっぱい全力で働き、自己研鑽して、会社と株式の成長に貢献するべき」といった具合。


こういった哲学を”当たり前”のものとして運用する管理職や上司ほど

「仕事は人間性でするものではない」
「モチベーションは部下自身が維持するものであり、上司の仕事ではない」

と言います。


で、私自身もその考え方自体は“正しい”と思います。しかし「正しいかどうか」と「現実はどうであるか」を分けて考えないマネジメントは、害悪であるとも思っています。


今回は、多くの管理職が知らない『現実』を知って貰った上で、現代の人材育成には何が必要なのか?についてお伝えします。




世の会社員にとって仕事は、そもそも「どうでもいいモノ」

① 裏切り者リスク:組織に愛着が無いと思われそう
② 拡散リスク:意図しない範囲に広まりそう
③ 低評価リスク:自分の評判が下がりそう
④ 身分不相応リスク:自分の立場では言えない
⑤ 無関心リスク:真剣に受け取ってもらえなそう
⑥ 関係悪化リスク:相手との関係が悪くなりそう

職場で本音を話せない要因[性年代別]

“画像出典:パーソル研究所「職場での対話に関する定量調査」

この図のポイントは、世の会社員が職場で本音を話せない要因として、最も多かったのが「裏切り者リスク:組織に愛着が無いと思われそう」であったこと。


言い換えると、年代に関わらず「会社や他の社員にとって都合が悪い本音を持っている」ということが見て取れます。


私がこれまで数百名の会社員の本音を聞いてきた経験からズバリ言ってしまうと、「世の会社員にとっては、仕事や会社のことなど正直どうでもいいこと」なのです。


この前提を履き違えているから、多くの上司が部下の姿勢に頭を悩ませ、効果のない人材育成に時間をとられてしまっています。


例えば、スマートワーク総研が1万人に「なぜ残業をするのか?」を調査した結果「生活費を増やしたいから」が1位であったことで物議を生みましたが、


実際どの職場でも、本音では「どうでもいい~」と思っていながら、個々が持つ責任感やモラルによって“表面上そつなく回っている”だけなのです。



コーチにとって「本音の欲求」は宝

コーチの立場からすると、多くの会社員がひた隠しにしている、もしくは自分でも気づいていない「本音の欲求」は外すことのできない重要な情報です。


なぜならこの欲求が「キャリアや人生の方向性」を決め、「目的実現の推進力」になるから。


そして今、管理職や上司は部下の持つ「本音の欲求」を上手く活用することを求められています。


“正しい仕事哲学”に従えない人材には辞めて貰えばよかった20年前とは異なり、労働者が46%減ることが確定している今、いかに色々な思考・展望・哲学を持った人材を一つのチームとして同じ方向に向かせられるか?全力を出せる様サポートできるか?が管理職や上司の重要な仕事の一つになっているからです。


更につけ加えるなら、部下の本音情報を引き出して、その職場で努力する理由と結びつけることができるかは、管理職&上司側の「コミュニケーションあり方」にかかっているのです。


そして、本音を引き出すには


「本音を語ることで不利益を被らないこと」
「どんな本音であっても、否定せずに共に最善策を探してくれること」


などの信頼の担保が絶対であるからこそ、管理者や上司の「人間性」や「人格」が職場に不可欠なのです。



まとめ

今回は人材定着のためのテクニックではなく、前提と現実的問題について深堀しました。


また別の記事にて「どのように部下の本音を引き出し、定着率&生産性向上につなげるか」についてお伝えしようと思いますのでお楽しみに!

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