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錫森栞
2021年7月29日 06:26
自転車を漕いだ。湖沿いの深夜の路地を夜歩く蟻達を追い越して、後ろには私の腹を抱くように掴まる亜麻色の髪が一人。無機質に冷めきった路地の切れ目を渡ると月光の当たり方もやや変わって夜光虫の喧騒が嗚呼唯、よく見える。砂防林の間からその様子を眺めて、夜風が私の前髪を引っ張る。亜麻色の髪はまだ目を覚まさない。この反対の岸には大層立派な大学病院がある訳だが、この静寂の中でその夜景が湖面に反射し、夜