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月に関してのメモ帳

こんな雑多な街でも、月だけは永遠に眩しいもんだなぁとしみじみ思う。
だいぶ昔に渋谷から星は消えてしまって、ないことが当たり前の世界になってしまった。
見上げればネオン。
見下ろせばソレが反射した道を私たちは常に歩いている。
月は眩しい。
眩しいけれど、地面に月を見つけることは出来なくなってしまった。

月明かりの下を歩いた最後の日はいつだっただろうか。
皆で山へ星を見に行った時だったような気がする。
星を見に行く。という自発的な行動でしか、私は空を見上げなくなっていたことにこの時気づいてしまった。

寂れている街ほど、夜は美しい。
小さい頃に行ったあの田舎は、星がありすぎて少し怖かった。小さな粒が不均一に散らばって、なんだか空がぼんやりと白く見えた。
月は太陽みたいに眩しかった。

月が綺麗ですね。というヒトから生まれた言葉が、いつかヒトによって建てられたビルのせいで埋もれてしまうんじゃないかと考えた時がある。

「月が綺麗ですね。」
「...は?」

昨日、本当になんとなく、月の光が私の元へ届いた気がして
見上げた。

墨汁を撒いたような空にポツンと月が浮かんでる。
東京の空がこんなにも寂れたのはいつからだっけ。

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