熱海の思い出フラッシュバックしたから、俺、コロナが落ち着いたら熱海に行くんだ。
遡ること2019年3月。
僕は熱海にいた。
高校の先輩と熱海旅行にきたのだ。
20代後半のおっさん3人が小旅行をしに。
平日1泊2日でビールを浴びるほど飲み、海を眺めながら温泉に入りたい。
ついでに、海辺にいるモラトリアム全開の大学生と胸キュンな出逢いがあるかもしれない希望を胸に、熱海にきたのだ。
正直、海なし県の埼玉に住む僕としては、海を見るだけで満足だ。
だが今回の旅の最大の目的は、男3人でただ、熱海を楽しむ。
それ以上でもそれ以下でもなかった。
ということで、埼玉から3時間ほど車を走らせると、熱海近辺に到着した。
とりあえずの乾杯。
ただいまの時刻、平日の12時半。
いつもなら、上司に「この資料、明日までによろしく♡」なんて昼飯前に仕事を振られては「承知しました!(うるせぇバカタレ)」と、心のなかで嘆いていたのと打って変わり、今日はビールをいただける。
これに加え、サラリーマン何千万人が仕事に励んでいる中、「平日の昼から熱海でビールを飲む背徳感でビールがススムぜ」と確認し、ニヤニヤしている様子がコチラ。
うますぎる。
この背徳感は誰かに伝えなきゃ、きっと本当の背徳感ではないと思い、高校の同級性に朝から晩までブロック塀を作る仕事をしている友達にすかさずLINEした。
朝から晩までブロック塀を作る仕事をしている友達からきた返信がコチラ。
諸事情で全体像は見せられないが、どうやら彼は工場で仕事中だという様子だけは写真で伝わってきたので、僕の背徳感は満たされた。
ビールの勢いは止まらず、伊豆限定のサッポロ黒ラベルを飲む。
味は普通のサッポロ黒ラベルだが、やっぱり平日昼間からビールを頂ける背徳感により、指数関数的にうまさが想像を超えてくる。
この世にもし、確かな幸せが存在するならば、これだと確信した。
さて次に、昼飯を食べ、ビールを飲み、酔っぱらったおっさん3人の考えた結論は「そうだ、スイーツを食べよう」だった。
熱海駅周辺を散策していると、何やら行列ができており、そこにはネオンで描かれた青い看板がある。
そう、プリンだ。
熱海プリンである。
熱海プリンとは、数年前から熱海で流行っている、名物スイーツのようだ。
詳細は以下のリンクで。
プリンを食べたいのと同時に、若い女子がキャッキャいいながら列に並んでいる中におっさん3人が紛れ込む恥じらいハーレムを堪能したく、購入した。
可愛らしいカバのマークにほっこりした。
ただプリンを食べるだけでは味気ないので、せっかくだから”インスタ映え”に挑戦をした。
テイク10くらい頑張った成果がコチラ。
おっさん2人がコンビニのイートインコーナーで、プリン食っているのと変わらない”映え”である。
もちろん、プリンは最強においしかった。
観光名物だけはある。
調子に乗り、2つも僕は食べてしまった。
完璧にお腹が満たされて次に向かった先は海辺。
海辺で少したそがれた後、先輩が「そうだ、宝探しするか」と意味深な発言をして、金属探知機を持ってきた。
今どき、旅行に金属探知機を持ってくるなんて、トレジャーハンターかよ。
だが大人になっても少年心を持つって、素晴らしいなと感心した。
持ってきて使わないのもアレなので、とりあえず宝を探してみよう。
2時間くらいかけて見つかったのは、
・錆びた釘
・周りからのイタイ視線
・休日をものすごくムダにした後悔
だった。
おっと、大事なことを忘れている。
”海辺にいるモラトリアム全開の大学生と胸キュンな出逢い”を忘れていた。
早速あたりをくまなく見渡す。
おじいちゃん・おばあちゃんがウォーキングしたり、海を眺めているだけで女っ気などありゃしない。
デリヘルでも海辺に呼ぶか悩んだ。
そんなアイデアは朽ちて、僕の希望が絶望に変わる。
これが現実だと下唇を噛み締めたら、さっき食べた熱海プリンが付着していたようで、二度おいしかった。
熱海を感じれて嬉しかった。
そして、宝探しで海辺を歩き回ったら身も心もクタクタになった。
すぐに宿に戻って温泉に浸かり、身も心も洗い流す。
僕が行った熱海温泉は、海岸沿いに源泉がある、塩化物温泉だった。
無色透明で匂いも香りもないが、保温効果の高さや美肌感は十分に体感し、仕事の疲れもぶっ飛んだ。
熱海温泉の効能としては、単純温泉の適応症に加え、きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病があるそう。
熱海温泉を知らしめた人物として、徳川家康がいる。
彼は、1604年、2人の息子を連れ、湯治のため熱海を訪れた記録が残っており、その後、江戸城に熱海の温泉を運ばせるほど、熱海温泉を愛していた。
「僕は徳川家康と時空を超え、温泉で繋がっているのか。天下でも取ろうかな。」なんてことを考えていたら、茹だってしまった。
日も暮れて風呂を上がり、宿が出してくれた海の幸満載の旅館飯に舌を包み、晩酌ではクダを巻き、気づけば朝になっていた。
宿から見える朝の景色は素晴らしかった。
浜風が僕の顔を包む。
深呼吸すると、磯の香りに混じり、春の匂いがした。
こんなに気持ちがいい、平日の朝はそうそうない。
熱海に「ありがとう」の想いが込み上げてきた。
写真を見返したら「コロナが収まったら、またいつでも来いよ」と、熱海が僕を呼んでいる。
「コロナが落ち着いたら、絶対にまた熱海に行くぜ!」と、僕は握りこぶしを二回ほど胸にトントンした。
↓書き手:はるきち
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