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育児休業の誤解と権利について

育児休業の取得が増えている一方で、まだまだ誤解が多いのが現状です。
例えば、

  • 「育休は夫婦で同時に取れない」

  • 「育休中は父親は無給になる」

未だに、こうした認識を持っている人は少なくありません。
しかし、制度はどんどん進化しており、正しく理解していないと損をする可能性もあります。
 
制度は平成と令和で全く違いますし、令和5年までとそれ以降でもかなり異なってきています。

今回は、育児休業に関する現時点での仕組みについてまとめてみました。


【1】:育児休業給付金の仕組み

「育休中は収入ゼロ…」と不安を感じている人も多いかもしれませんが、実際には育児休業給付金が支給されます。特に2025年4月からは、支給額がさらに手厚くなります。

2025年4月以降の育児休業給付金の支給額

  • 1ヶ月目:賃金の80%(実質100%に近い)

  • 半年まで:67%(実質約80%)

  • それ以降:50%

なぜ「実質〇〇%」なのかというと、育休中は社会保険料が免除されるため、手取り額は通常の給料とほぼ変わらないケースが多いからです。

さらに、育児休業給付金は給与ではなく社会保険から支給されるため、配偶者控除の対象になる可能性もあります。年収103万円(現在議論中ですね。)以下であれば、所得税の扶養に入れることもあります。


【2】:夫婦で育休は取れるのか


「夫婦で同時に育休は取れない」と思っている人もいますが、これは間違いです。

現在の制度では、「パパ・ママ育休プラス」という仕組みがあり、夫婦で最大2年間(子どもが1歳半まで)育休を取得することが可能です。

もちろん、会社の理解が必要な場合もありますが、法律上は取得できるため、しっかり取得意向を伝えていくことが大切です。


【3】:情報格差が問題? 育休のリアル


最近では、SNSを中心に育休に関する情報が広がり、特に若い世代の男性の間で取得率が高まっています。

しかし、SNSをあまり使わない人や、地方やコミュニティによっては、育休制度の理解が遅れていることもあります。

例えば、私の知り合いでは、管理職が「夫婦で育休は取れない」と言ってきたというケースがありました。制度はどんどん変わっていますが、まだその仕組みは社会に浸透していないのが現状です。


【4】:日本の男性の育児休業取得率が急上昇!ついに30%を突破


日本の男性の育児休業取得率が、近年大きく上昇しています。厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、2022年度の男性の育休取得率は30.1% に達し、前年度の17.13%から 13ポイントの大幅増 となりました。これは、日本の育児支援制度において大きな節目となる出来事です。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構より引用

育休取得率30%の目標を前倒し達成

日本政府は、2025年までに男性の育児休業取得率を30% に引き上げる目標を掲げていました。しかし、2022年度のデータで すでに30%を突破 し、目標を前倒しで達成しました。これは、政府や企業が育休取得を促進するための制度改革を進めてきた成果といえるでしょう。

特に、育児休業給付金の拡充育児休業取得を促す法改正 などの取り組みが、男性の育休取得を後押ししています。また、社会全体で育児への関心が高まり、男性も積極的に育児に参加する意識が広まってきたことも大きな要因です。

【5】:男性の育休取得は「義務」ではない。
でも、選択肢として考えたい


近年、男性の育児休業取得率は大きく上昇し、社会全体で「男性も育休を取るべきだ」という意識が高まっています。政府も育休取得率の向上を推進し、企業によっては取得を推奨する流れもあります。しかし、「男性は必ず育休を取るべき」という考え方には慎重であるべきです。

育児は夫婦が協力して取り組むものですが、その形は家庭によって異なります。仕事の状況、経済的な事情、家族のサポート体制などを考慮すると、必ずしもすべての家庭にとって男性の育休取得が最適な選択とは限りません。

育児うつのリスクと男性のメンタルヘルス

育休を取ることで、家族との時間を大切にできる一方で、育児のストレスや孤立感から「育児うつ」になる男性も増えています。

育児うつの主な要因
・初めての育児によるプレッシャー
・慣れない家事や育児でのストレス
・外部との接触が減り、社会から孤立したように感じる
・収入が減ることへの不安

特に、育休を取った男性の中には、「仕事を休んでいるのに、育児もうまくできていないのでは」と自責の念に駆られる人もいるようです。また、母親がメインで育児をしているケースでは、男性が家の中で居場所を感じにくくなることもあるそうです。

重要なのは「家庭ごとに最適な選択をすること」

育休は「取るべきか、取らざるべきか」という単純な話ではなく、家庭の状況に応じて柔軟に考えるべきものだと思います。大切なのは、パートナーとよく話し合い、納得のいく形で育児の分担を決めること。そして、育休を取らない場合でも、家事や育児にどう関わるかを考えることです。

男性の育休取得が当たり前になりつつある今だからこそ、「絶対に取らなければならない」というプレッシャーを感じる必要はありません。家庭ごとに最適な選択をし、それぞれの形で育児と向き合うことが大切です。

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